
ペットの健康を守るためには、普段と異なる行動にいち早く気づくことが
とても大切です。地震や台風、洪水などの緊急時には、ペットがストレスや
病気のサインとして、いつもと違う行動を見せることがあります。
この記事では、最新情報をもとに、災害時にペットの異常な行動を見分けるための
チェックリスト、ストレスや病気のサインへの飼い主さんの初期対応、
そして獣医師への相談方法をわかりやすくご紹介していきます。
災害に備えて、ペットの異変にすぐ対応できるよう、今から準備を始めてみましょう!
災害時のペットの行動チェックの大切さとポイント
災害時の環境の変化は、ペットの心や体に大きな影響を与えます。
ここでは、なぜ行動をチェックすることが大切なのか、
どんなポイントに気をつけるべきかを整理してご説明します。
1.1 行動チェックが大切な理由
ストレスを早く見つける:避難所や自宅での騒音や狭い空間、飼い主さんの不在は、
ペットの不安を増やし、いつもと違う行動(例:吠え続ける、隠れる)を引き起こす
原因になります。早めに気づければ、ペットのストレスを和らげる事ができます。
病気を防ぐ:災害時の衛生状態の悪化や食事の変化によって、消化器のトラブルや
感染症のリスクを高める事があります。その時の行動の変化は、それらの病気を
示すサインにもなります。
安全を守る:攻撃的な行動や逃げ出す動きは、ペットや周りの人々の安全を
危険にさらすことがあります。
そのため行動をチェックすることにより、リスクを減らすことができます。
飼い主さんの判断を助ける:行動の異変を記録しておけば、獣医師との相談が
スムーズになり、適切なケアや治療につなげることができます。
1.2 チェックするときの問題点
環境の影響:避難所の混雑や自宅の混乱で、ペットの行動をじっくり見る時間が
取りにくいことがあります。
知識の準備:飼い主さんが、どの行動が普通で、どれが異常かを判断するのが
難しい場合があります。
ペットごとの違い:犬、猫、小動物、鳥の種類や、年齢、健康状態によって、
異常な行動の現れ方が異なります。
飼い主さんの心の余裕:災害時の飼い主さん自身のストレスが、ペットの変化に
気づく時間を減らすことがあります。

いつもと違う行動を見分けるチェックリスト
災害時にペットの異常な行動を見つけるために、
以下のチェックリストを活用してみてください。
ストレスと病気のサインを分けて、わかりやすく紹介しております。
2.1 ストレスのサイン
犬:
吠え方の変化:普段は静かなのに頻繁に吠える、または逆にまったく吠えなくなる。
震えや隠れる:体が震えたり、ソファの下や隅に隠れたりする。
体を舐め続ける:前足やお腹を何度も舐める(ストレスによる肌トラブルの可能性)。
食事の変化:エサを食べなくなる、またはいつもよりたくさん食べる。
猫:
隠れ続ける:長時間姿を見せず、ケージや狭い場所にこもる。
毛の手入れのしすぎ:毛を過度に舐めて、部分的に毛が薄くなる。
攻撃的な態度:普段は穏やかなのに、唸ったり引っかいたりする。
トイレの失敗:トイレ以外の場所でおしっこやうんちをする。
小動物(ハムスター、ウサギなど):
動きが少ない:ケージの中でじっとしていて、ほとんど動かない。
噛む癖が増える:ケージや巣材を必要以上に噛む。
エサを食べない:エサや水をほとんど口にしない。
鳥(インコ、オウムなど):
羽を抜く:ストレスで自分の羽を抜いてしまう。
鳴き声の変化:いつもよりたくさん鳴く、または静かになる。
姿勢の変化:止まり木で縮こまる、頭を下げ続ける。
2.2 病気のサイン
共通のサイン:
吐く・下痢:何度も吐く、水のようなうんちをする。
特に血が混じる場合は緊急と考えましょう。
呼吸の異常:ゼーゼー音、早い呼吸、口を開けて呼吸する(特に猫や鳥)。
目や鼻の異変:濁った涙、鼻水、目やにが増える。
動きの鈍さ:歩くときにふらつく、動きたがらない。
犬特有:
よだれが多い:口から大量の唾液が垂れる(中毒や神経のトラブルの可能性)。
お腹が膨らむ:お腹が異常に大きくなる(胃のトラブルや内臓疾患のサイン)。
猫特有:
おしっこが出ない:トイレで力むがおしっこが出ない(尿路の緊急事態)。
肌や目の黄ばみ:目や皮膚が黄色くなる(肝臓の問題の可能性)。
小動物特有:
体が冷たい:体温が下がり、動きが鈍くなる(低体温やショックのサイン)。
毛の状態が悪い:毛が乱れる、つやがなくなる。
鳥特有:
尾の動き:呼吸が苦しくて尾羽が上下に揺れる。
うんちの異常:緑色や血が混じる、量が極端に増減する。
2.3 チェックのコツ
どのくらい続くか:行動の変化が一時的か、1日以上続くかメモをとる。
環境とのつながり:騒音や温度、他のペットの存在が原因か考えてみる。
普段との比較:ペットの普段の食事量やトイレの習慣を把握しておき、違いを見つける。
記録を残す:スマホやノートに、時間、症状、環境を書き留める。

飼い主さんができる最初の対応
ペットの行動に異変を見つけたら、
以下の対応で状態を落ち着かせましょう。
3.1 ストレスへの対処
環境を整える:
静かな場所:避難所では布や仕切りで周りの音を減らし、
自宅では静かな部屋を選ぶ。
安心できるものを使う:飼い主さんの匂いがついたタオルや、
ペットが好きなオモチャを近くに置く。
温度を調整:犬や猫は20~25℃、小動物や鳥は22~28℃に保つ。
断熱シートや保冷剤を上手に使いましょう。
いつもの習慣を続ける:
ご飯:いつもと同じ時間に、少しずつエサを与える。
災害用のエサに変えるときは、徐々に慣らしましょう。
運動:犬は短い散歩(5~10分)、猫はオモチャで遊んで、ストレスを解消させる。
触れ合い:優しく声をかけたり、撫でたりして安心させてあげましょう。
様子を観察:
ストレスが減るか、ひどくなるか毎日チェックする。
例:隠れる場所を用意したら落ち着いたか、エサを食べるようになったか。
3.2 病気のサインへの対応
安全を確保:
吐いたものやうんちはすぐに片付け、清潔にする。
手袋や消毒液を使いましょう。
攻撃的なペットは無理に触らないようにしましょう。
簡単な処置:
水分補給:水を少しずつ与える。ペット用の電解質ドリンクを
用意しておくと安心です。
体を温める:小動物や鳥が冷えている場合、湯たんぽ
(40℃以下、タオルで包む)で温める。
傷のチェック:傷がある場合、清潔な布で軽く押さえ、獣医師に相談する。
エサの管理:
吐く・下痢がある場合、12~24時間エサを控え、水は少量にする。
その後は獣医師の指示に従います。
小動物や鳥はエサを完全にやめると危険なので、少量を与え続けましょう。
記録を詳しく:
症状(例:吐く回数、うんちの色)、始まった時間、環境をメモしておく。
写真や動画を撮って、獣医師に送れるようにする。
3.3 気をつけること
自分で判断しない:人間用の薬や治療はペットに危険なので与えない
(例:人間の薬は中毒の原因)。
緊急かどうか:呼吸が苦しそう、おしっこが出ない、大量の出血は
すぐに獣医師に連絡する。
他のペットとの距離:病気がうつる可能性がある場合、他のペットと離す。

獣医師や専門家への相談の仕方
行動の異変が続く、または病気のサインがはっきりしている場合は、
すぐに専門家に相談しましょう。
4.1 相談の準備
情報をまとめる:
ペットの種類、年齢、過去の病気など。
どんな症状か(いつから、どのくらい続くか)。
災害時の環境(避難所か自宅か、食事の変化)。
撮った写真や動画を準備する。
連絡先を用意:
かかりつけの獣医師の電話番号やメールを確認しておく。
災害時の緊急連絡先(例:地域の動物病院、獣医師会の窓口)を確認する。
オンライン相談の準備:
避難所や移動中で病院に行けない場合、オンラインの獣医療サービスを活用する。
事前にアプリをインストール、登録を済ませておきましょう。
4.2 相談のコツ
症状を優先順位で:
緊急性の高い症状(例:呼吸が苦しい、おしっこが出ない)を最初に伝える。
例:「昨夜から口を開けて呼吸している」「24時間おしっこが出ていない」。
環境を伝える:
災害時のストレス要因(例:避難所の騒音、暑さ)を説明する。
例:「他のペットの声が響く」「停電で部屋が28℃以上」。
指示をしっかり確認:
獣医師のアドバイス(例:エサを控える、温める)をメモし、正確に実行する。
病院に行く場合、予約時間や持ち物を確認しておく。
4.3 病院に行く準備
持っていくもの:
キャリーやケージ(空気が通るもの)。
ペットの健康記録(ワクチン証明、過去の病気)。
症状のメモ、写真、動画。
予備のエサ、水、トイレシート。
移動の注意:
犬はリードでしっかり固定、猫や小動物はキャリーで安全を確保する。
避難所のルール(ペットの同伴OKか)を事前に確認する。
お金の準備:
災害時の動物病院は費用が高くなる場合もあり。現金やカードを
用意しておきましょう。ペット保険に入っている方は、保険証券や
連絡先を持参しましょう。

ペットの種類ごとの行動異変と対処法
ペットの種類に合わせた異常行動と対応方法を
詳しくご紹介します。
5.1 犬
異常行動:
吠え続ける、震える、エサを食べない、急に攻撃的になる。
病気のサイン:吐く、下痢、よだれが多い、歩き方がおかしい。
最初の対応:
静かな場所で休ませ、飼い主さんの匂い付きのタオルで安心させる。
吐く場合は12時間エサを控え、水を少しずつ。
攻撃的な場合はリードで固定、無理に近づかない。
専門家への相談:
呼吸が苦しそう、お腹が膨らむ場合はすぐに連絡する。
症状のメモ(例:吐く回数)を詳しく伝える。
5.2 猫
異常行動:
隠れ続ける、毛の手入れのしすぎ、トイレの失敗、攻撃的になる。
病気のサイン:おしっこが出ない、肌や目の黄ばみ、呼吸の異常。
最初の対応:
キャリーや段ボールで隠れられる場所を用意する。
トイレの失敗はトイレを清潔に、ストレスを減らす。
おしっこが出ないのは緊急、すぐに獣医師に連絡する。
専門家への相談:
オンラインで緊急性を伝える(おしっこが出ない、黄ばみ)。
避難所の環境(例:騒音)をしっかり伝える。
5.3 小動物(ハムスター、ウサギなど)
異常行動:
動きが少ない、ケージを噛み続ける、エサを食べない。
病気のサイン:体が冷たい、毛が乱れる、下痢。
最初の対応:
ケージを22~25℃に保ち、巣材を清潔にする。
エサを食べない場合、好きなエサを少量試す。
体が冷たいときは湯たんぽで温める。
専門家への相談:
小動物専門の獣医師に連絡する(普通の獣医師は対応できない場合も)。
うんちや毛の写真を送る。
5.4 鳥(インコ、オウムなど)
異常行動:
羽を抜く、鳴き声が変わる、縮こまる。
病気のサイン:尾が揺れる、うんちの異常、呼吸が苦しそう。
最初の対応:
ケージを静かな場所に、布で光を抑えて落ち着かせる。
うんちの異常はケージを掃除、写真を撮る。
呼吸が苦しそうな場合、25~28℃で保温する。
専門家への相談:
鳥専門の獣医師に連絡する(例:鳥類獣医師会)。
尾の揺れや呼吸の動画を送る。

行動チェックの簡単まとめ表
ペットの種類 | ストレスサイン | 病気のサイン | 最初の対応 | 専門家相談の緊急度 |
---|---|---|---|---|
犬 | 吠え続ける、震える | 吐く、よだれ多い | 静かな場所、絶食 | 呼吸困難、お腹膨張はすぐ |
猫 | 隠れる、毛手入れしすぎ | おしっこ出ない、黄ばみ | 隠れ場所、トイレ清潔 | おしっこ出ないはすぐ |
小動物 | 動かない、噛む | 体冷たい、下痢 | 保温、少量エサ | 体冷たいはすぐ |
鳥 | 羽抜く、鳴き声変化 | 尾揺れ、うんち異常 | 遮光、保温 | 呼吸困難はすぐ |
行動チェックの準備リスト
チェックリストになります。
これを参考に準備してみましょう。
事前に準備:
ペットの普段の行動(エサの量、トイレの回数)をメモしているか。
獣医師や緊急連絡先をリストにしたか。
災害時のチェック:
毎日10分、ペットの行動を観察しているか。
症状や環境をスマホやノートに記録したか。
最初の対応:
病気のサインには簡単な処置をし、獣医師に連絡したか。
専門家相談:
緊急サインはすぐに連絡し、オンライン相談も活用したか。
メモや動画で正確な情報を伝えたか。
練習:
普段から観察の練習をして、異変に慣れるようにしているか。
まとめ:ペットの異変にすぐ気づいて対応を
災害時のペットの行動チェックは、ストレスや病気を
早く見つけるために欠かせません。
次のステップで準備を進めてみてくださいね!
チェックリストを使って、いつもと違う行動を見つける。
ストレスには環境を整えてあげ、病気のサインには適切な処置を施す。
獣医師や専門家にすぐ相談し、詳しい記録を共有する。

ペットの行動チェックを日常に取り入れ、
災害時の安全を守れるようにしましょう!
