
犬や猫を大切な家族として一緒に暮らしているご家庭では、災害対策を人間だけではなく、ペットも含めて考えることがとても大切です。ペットは痛みや体調の悪さを自分で言葉にして伝えられないため、飼い主さんが日ごろから小さな変化に気づいてあげなければなりません。特に注意が必要なのが、爪の伸びすぎと毛玉です。これらは「ちょっとくらい大丈夫」と見過ごされやすいのですが、放置すると歩きにくくなったり、皮膚の炎症が起きたり、最悪の場合は内臓にまで影響を及ぼすことがあります。災害が発生したとき、避難生活ではストレスが大きくなり、水や清潔を保つのが難しくなります。そんな状況で爪や毛のトラブルがあると、症状が急に悪化し、ペットの命に関わる事態になる可能性が高まるのです。実は、爪切りとブラシという日常的な道具が、ペットの防災準備の中で非常に重要なアイテムになります。
この記事では、爪と毛のトラブルがどんなリスクをもたらすのかを具体的に説明し、災害時の影響、日ごろの簡単なケア方法、そして実際に使いやすいおすすめ商品まで、わかりやすくお伝えしていきます。
爪が伸びすぎると起きるペットのトラブル
室内で飼っている犬や猫は、外で歩く機会が少ないため、爪が自然にすり減りにくくなっています。ついつい忘れがちですが、気づかないうちに爪がかなり長くなってしまっていることがよくあります。この状態をそのままにしておくと、ペットの体にさまざまな問題が出てきます。
1-1. 歩きにくくなって関節に負担がかかる
爪が長くなると、床に爪の先が強く当たるようになり、足の着地が不安定になります。そのせいで滑りやすくなり、転んだりつまずいたりしやすくなります。特にフローリングのような滑りやすい床では、膝や股関節に余計な力がかかり、慢性的な痛みや関節の変形につながることがあります。小型犬では膝のお皿がずれる「膝蓋骨脱臼」、大型犬では「股関節形成不全」のリスクが高まります。また、子犬の成長期に爪が長いまま過ごすと、骨や関節の正常な発達が妨げられる可能性もあります。散歩や遊びのときに足をひきずったり、歩き方がおかしいと感じたら、まず爪の長さを確認してみましょう。

1-2. 皮膚を傷つけて感染症の危険が増す
伸びすぎた爪は、肉球の間や指の皮膚を引っかいて小さな傷を作ることがあります。この傷から細菌が入ると、赤く腫れたり膿が出たりします。特に高齢のペットや持病がある子は免疫力が弱いため、傷が治りにくく、全身に感染が広がるおそれもあります。猫の場合は爪がとても鋭くなるので、ジャンプや着地のときに自分の体を傷つけてしまうこともあります。また、複数で飼っている場合、遊んでいる最中に他のペットを傷つけるリスクもあります。
1-3. クイックが伸びて爪切りが嫌いになる
爪が長く伸び続けると、爪の中にある血管と神経(クイックと呼びます)が一緒に伸びてしまいます。クイックが長い爪を切ろうとすると、出血しやすく、ペットに強い痛みを与えてしまいます。一度痛い思いをすると、爪切りを見ただけで逃げたり嫌がったりするようになり、次回からのケアがとても難しくなります。飼い主さんも出血を心配して爪切りを先延ばしにしてしまい、さらに爪が伸びるという悪循環に陥りがちです。

*これらの問題は、ペットの動きを制限し、活動量を減らしてしまうため、体全体の健康にも悪影響を及ぼします。普段から足元を時々チェックする習慣をつけるだけで、ほとんどのトラブルを早めに防ぐことができます。
毛玉ができる仕組みとペットへの悪影響
毛玉は長毛の犬や猫でよく見られますが、短毛種でも換毛期(抜け毛が多い時期)に起こることがあります。毛が絡まって固まるこの状態は、見た目が悪いだけでなく、体に深刻なダメージを与えます。
2-1. 皮膚が息苦しくなって炎症が起きやすい
毛玉が皮膚を覆うと、空気が通りにくくなり、汗や皮脂がこもりやすくなります。この湿った環境は細菌やカビが繁殖しやすく、湿疹や皮膚炎を引き起こします。特に脇の下、お腹、耳の後ろ、尻尾の付け根など動きの多い場所でできやすく、かゆみからペットが自分で掻いて傷を作り、症状がさらに悪化します。夏の蒸し暑い時期や、冬の暖房で空気が乾燥しつつ湿気がこもる季節は特に注意が必要です。
2-2. 皮膚が引っ張られて血流が悪くなる
大きな毛玉は皮膚を強く引っ張り、血のめぐりを悪くします。長く放置するとその部分の毛が抜け、皮膚が薄くなって潰瘍(ただれ)ができてしまいます。一度潰瘍ができると治りにくく、ペットにずっと痛みが続くことになります。
2-3. 飲み込んだ毛で消化器がトラブルを起こす
猫は毛づくろいのときにたくさんの毛を飲み込みます。これが胃や腸に溜まると「毛球症」になり、普通は吐いて出せますが、量が多いと腸が詰まってしまいます。症状としては食欲がなくなる、繰り返し吐く、お腹が張る・痛がるなどです。重症化すると手術が必要になることもあります。犬でもダブルコートの種類や換毛期に同じような問題が起きやすく、無理に吐かせようとすると食道を傷つける危険があります。毛球除去用の専用フードやペーストを普段から使うのも予防に役立ちます。毛玉はペットにずっと不快感を与え、ストレスを増やします。ストレスが続くと免疫力が下がり、他の病気にもかかりやすくなるため、早めの発見と対処がとても大切です。

災害時に爪と毛のトラブルが特に深刻になる理由
災害が起きた後、ペットは狭い場所で長く過ごしたり、いつもと全く違う環境に置かれたりします。そんなストレスフルな状況で、爪や毛の問題があると、深刻な状況になりやすくなります。
3-1. 避難中の移動で怪我をしやすくなる
爪が長いと、崩れた道や仮設の床で爪が折れたり引っかかったりして、出血したり痛みが出たりします。避難所の衛生状態はあまり良くないことが多いので、傷ができたら感染症のリスクが高くなってしまいます。
3-2. 清潔が保てず症状が急に悪化する
避難生活では水やシャンプーが不足しがちです。そんな中で毛玉があると、汚れや抜け毛がどんどん溜まり、皮膚病が一気に進んでしまいます。災害のストレスで毛づくろいが増えるペットも多く、飲み込んだ毛による毛球症も起こりやすくなります。獣医さんの診察がすぐ受けられない状況では、軽い症状が重症化しやすく、脱水や栄養不良を併発する危険性もあります。
3-3. ケアがペットのストレスを軽くしてくれる
逆に、事前に爪を短く切っておき、毛玉がないきれいな状態にしておけば、ペットの歩き方が安定して怪我をしにくくなります。また、ブラッシングで優しく触れてあげることで、ペットに安心感を与え、心のストレスを和らげてあげられます。爪切りとブラシはとても軽くて場所を取らないので、防災バッグにぜひ入れておきたい必需品です。日ごろからこれらの道具に慣れておけば、災害が起きたときも慌てずにすぐにケアができ、ペットを守りやすくなります。

ペットの防災対策を総合的に考える
爪と毛の手入れはとても大切ですが、それだけでは十分とは言えません。全体的な防災対策も一緒に進めておきましょう。
4-1. 同行避難を基本にした計画を立てる
ペットを置いて避難しない、という家族の方針をみんなでしっかり確認しておきます。
近くのペット同伴可能な避難所を事前に調べてリストアップしておきましょう。万一避難所が使えない場合に備えて、車中泊や親戚・知人宅に預ける選択肢も考えておくと安心です。
4-2. 最低1週間分の物資を準備する
普段食べているフード、水、トイレシートや猫砂、常備薬、キャリーバッグ、リードなどを、少なくとも1週間分ストックしておきます。フードは古いものから使って新しいものを補充する「ローテーション」を心がけると、賞味期限切れを防げます。
4-3. しつけと迷子対策をしっかり行う
キャリーやクレートに慣れさせる練習、簡単な指示(お座り・待てなど)に従うしつけを日ごろからしておきましょう。迷子防止のために、マイクロチップの埋め込みや首輪に連絡先を書いたタグをつけることもおすすめです。これらの対策を、爪や毛の日常ケアと一緒に進めることで、災害が起きたときのペットの生存率がぐっと高まります。

日ごろから実践したい爪と毛のケア方法
特別な技術は必要ありません。誰でも簡単に始められます。大切なのはポイントを押さえて、毎日少しずつ続けることです。
5-1. 爪切りのタイミングと安全なやり方
犬は2〜4週に1回、猫は1〜2ヶ月に1回が目安です。ペットがリラックスできる静かな場所で、優しく体を固定します。明るいライトを使ってクイック(爪の中の血管・神経)が見えるように確認しながら、少しずつ先端だけを切っていきましょう。万一出血してしまったときのために、止血パウダーや清潔な綿をすぐ取れるところに置いておくと安心です。初めての方は、かかりつけの獣医さんやトリマーさんにコツを教えてもらうと、自信を持ってできるようになりますよ。
5-2. ブラッシングの効果的なやり方
毎日5〜15分程度、毛並みに沿って優しく梳かします。長毛種はまずコームで絡まりをほぐしてからスリッカーブラシを使い、短毛種はラバータイプのブラシでマッサージするように撫でるのがおすすめです。終わったらおやつをあげたり「いい子だね」とたくさん褒めたりして、ペットにとって楽しい時間にしましょう。そうすると、次回も嫌がりにくくなります。
5-3. 続けやすくするための小さな工夫
最初は前足だけ、または数分だけから始めてOKです。慣れてきたら徐々に全体に広げていきましょう。ペットが落ち着く場所や時間帯(例えばご飯の後など)を見つけてルーティンにすると、抵抗が少なくなり、長続きしやすくなります。

実際に使いやすい爪切りとブラシのおすすめ商品
爪切りやブラシは、ペットのサイズや性格、毛の長さに合ったものを選ぶのが長続きのコツです。ここでは、多くの飼い主さんに人気で使いやすい商品をご紹介します。
6-1. 爪切りのおすすめ商品
廣田工具製作所 すこやかネイルトリマー 斬(zan)ギロチンタイプ
日本製で切れ味がとても良く、小型〜中型犬や猫にぴったりです。安全ストッパーが付いているので、切りすぎを防げて初心者でも安心して使えます。
猫壱 ストレスなくスパッと切れる猫用爪切り
ハサミ式で細かく調整しやすく、猫の小さな爪を切りやすい設計です。持ち手が滑りにくく、長く使っても手が疲れにくいのでおすすめです。
Pecute 電動爪トリマー
音が静かで振動も少ない電動タイプなので、普通の爪切りをすごく嫌がるペットに最適です。グラインダーで少しずつ自然に削るため、出血の心配がほとんどなく安全です。
6-2. ブラシのおすすめ商品
ファーミネーター 小型犬・猫用
下毛(アンダーコート)をしっかり取り除いてくれるので、毛玉ができにくくなります。ペットのサイズや毛の長さに合わせた種類が豊富に揃っています。
岡野製作所 ステンレス製高級ソフトスリッカーブラシ
ピンが柔らかくて皮膚を傷つけにくいソフトタイプです。敏感肌のペットでも安心で、長毛・短毛どちらにも使えます。ペティオ プレシャンテ ソフトスリッカーブラシ
持ち手が手にフィットする人間工学デザインなので、毎日ブラッシングしても疲れにくいです。日常ケアにちょうど良い使い心地です。

早わかり表:爪と毛のケアのポイント一覧
| 項目 | 主なトラブル | 予防・対策 | 実施目安 |
|---|---|---|---|
| 爪の伸びすぎ | 転倒・関節痛・傷と感染 | 定期的なカット・クイック確認 | 犬:2〜4週に1回 猫:1〜2ヶ月 |
| 毛玉の発生 | 皮膚病・毛球症・不快感 | 日常ブラッシング・毛質に合ったケア | 毎日〜週数回 (換毛期は毎日) |
| 災害時の影響 | 移動障害・感染拡大・ストレス | 防災バッグに爪切りとブラシを常備 | 避難時すぐにケア+日常習慣 |
| 総合防災 | 避難困難・迷子・健康悪化 | 物資備蓄・しつけ・識別対策 | 常時継続 |
まとめ:ペットの爪と毛のケアを今日から始めよう
爪と毛の適切なお手入れは、ペットの毎日の暮らしを快適にするだけでなく、災害のような緊急時にも命を守る大切な手段になります。これまでお伝えしたように、爪が伸びすぎたり毛玉ができたりすると、普段からトラブルが起きやすく、災害時にはそれがさらに深刻になってしまいます。でも、理由をしっかり理解して、簡単なケアを少しずつ続けていくだけで、多くのリスクを防ぐことができます。大切な家族であるペットが、いつまでも元気に過ごせるように、今日から小さな一歩を踏み出してみませんか。爪切りやブラッシングの時間は、きっとあなたとペットの絆をより深めてくれるはずです。無理なく続けていきましょう。


