
近年、クマの出没エリアが急速に拡大しています。山間部だけでなく、都市近郊の住宅街でもクマの目撃情報が相次ぎ、特に秋の餌不足時期には人里に下りてくる頻度がさらに高まっています。庭で遊ばせている愛犬や愛猫が、突然クマと遭遇してしまう事例も全国で報告されており、ペットオーナーにとって他人事ではありません。家族同然の存在であるペットを守るために、今すぐできる対策を整えておくことが極めて重要です。
本記事では、なぜ今クマ対策が必要なのか、放置した場合の具体的なリスク、日頃から実践できる習慣、おすすめグッズなど詳しく紹介していきます。
なぜ今、クマ対策が急務なのか
クマの行動範囲が拡大している背景には、複数の要因が重なっています。まずこれらを理解することで、危機感を持って対策に取り組めるようになります。
1-1 全国で過去最高レベルの出没件数
2024~2025年にかけて、クマの出没件数は過去最多を更新する勢いです。特に北海道、東北、北陸、長野、岐阜、兵庫、岡山、熊本など、従来から出没が多かった地域だけでなく、埼玉県秩父市、千葉県勝浦市、静岡県浜松市天竜区、大阪府能勢町といった「これまで安全だった」エリアでも頻発しています。庭付き一戸建てや団地でも、クマがフェンスを越えて侵入する事例が報告されています。
1-2 住宅街の「餌環境」がクマを引き寄せる
クマは非常に嗅覚が優れており、数百メートル先の臭いも感知します。ペットフード、生ゴミ、庭の柿や栗の木、コンポストなどが格好の餌場となっています。一度「ここに餌がある」と学習したクマは、何度も同じ場所に戻ってくる習性があるため、早めの対策が不可欠です。
1-3 ペットが最も狙われやすい時間帯と場所
クマの活動ピークは早朝5~8時と夕方16~20時頃です。この時間帯に庭で自由にさせているペットは、まさに「餌の前」にいる状態と言えます。特に小型犬・中型犬、猫はクマにとって捕まえやすい獲物であり、実際に襲われた事例のほとんどが20kg以下のペットです。
1-4 2025年最新傾向:子グマ連れの母グマが増加
今年は子グマを連れた母グマの出没が特に目立っています。母グマは子を守るため攻撃性が極めて高く、ペットが近くにいるだけで威嚇・突進してきます。子グマだけを見かけても絶対に近づかないようにしましょう。

対策をしないと起こる最悪のシナリオ
「うちの地域は大丈夫」「うちの子は大きいから」と油断していると、取り返しのつかない事態になります。
2-1 ペットが即死・重傷を負うケース
クマの一撃は500kg以上の力があり、小型犬であれば一瞬で致命傷になります。2024年には、庭で遊んでいた柴犬が母グマに持ち去られた事例もあります。
2-2 飼い主さんが巻き込まれる二次被害
愛犬・愛猫を助けようとして近づいた飼い主さんが襲われ、重傷を負うケースが全国で数十件報告されています。特に女性や高齢者の被害が多く、命を落とした事例もあります。
2-3 経済的・精神的ダメージが長期化
治療費が数十万円~数百万円かかることも珍しくありません。また、事故後に庭に出られなくなったペットのストレス行動(分離不安・吠え続ける・トイレを失敗するなど)が深刻化し、家族全体の生活が崩れるケースも増加しています。
日頃から実践したい基本対策
3-1 庭を「クマが嫌がる環境」に変える
・生ゴミ・ペットフードは絶対に外に置かない(密閉容器+室内保管)
・果樹には早めにネットをかけるか、実が熟す前に全て収穫する
・庭の雑草を刈り、クマが隠れられる場所をなくす
・センサーライトや人感センサーを複数設置する(クマは光を嫌います)
・庭にラジオを置き、人間の声を流す(タイマーで朝夕に自動ON)
3-2 ペットの外出ルールを徹底する
・朝8時~夕方4時以外の庭遊びは禁止する
・必ず人が付き添い、5分以上目を離さない
・GPSトラッカー(AirTagやTileなど)を首輪に常時装着する
・夜間は完全室内飼い(ドッグランも夕方以降は避ける)

3-3 家の周囲を定期点検する
・フェンスの歪みや隙間を毎月チェックする
・門扉には必ず鍵をかける
・車庫や物置のドアも閉めっぱなしにする
3-4 季節ごとの追加対策
【春】山菜取りシーズン→山菜を庭に持ち込まない
【夏】生ゴミの腐敗臭が強まる→冷凍保存してから捨てる
【秋】最重要!果実+ドングリシーズン→庭の落ち葉も毎日掃除
【冬】積雪地域では雪下に隠れたクマに注意する
本当に効くおすすめグッズ
4-1 熊撃退スプレー
・POLICE MAGNUM 熊撃退スプレー 大型(射程10m以上)
・SABRE Frontiersman(アメリカ森林警備隊採用モデル)
4-2 高音圧エアホーン
・モンベル ベアホーン(130デシベル)
・Fox 40 エレクトリックホーン(電池切れの心配なし)
4-3 常時装着タイプの熊よけ鈴
・FIELDOOR 熊よけ鈴 プレミアム(音が途切れない構造)
・Bear Bell マグネット式(首輪にワンタッチ)
4-4 フェンス強化アイテム
・ラングスジャパン クマ対策ネット 2m高
・電気柵キット「クマストッパー」(家庭用100V対応)
4-5 その他あると安心なアイテム
・ペット用GPSトラッカー「Tractive GPS DOG 4」
・センサーライト「ムサシ RITEX LED 1000ルーメン」
・防犯カメラ「TP-Link Tapo C420S2」(夜間カラー撮影対応)
・ドッグトレーナー推奨ホイッスル(犬が即反応する周波数)

クマ対策早わかり比較表
クマ対策の早わかり比較表になります。参考にしてみましょう。
| 対策内容 | 効果 | 費用 | 難易度 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 餌の完全室内管理 | ★★★★★ | 無料 | 簡単 | ★★★★★ |
| 外出時間制限 | ★★★★★ | 無料 | 普通 | ★★★★★ |
| 熊撃退スプレー | ★★★★★ | 3,000~6,000円 | 簡単 | ★★★★★ |
| フェンス強化 | ★★★★☆ | 5,000~50,000円 | やや大変 | ★★★★☆ |
| 避難訓練 | ★★★★★ | 無料 | 普通 | ★★★★★ |
| GPSトラッカー | ★★★★☆ | 月額500円程度 | 簡単 | ★★★★☆ |
クマと遭遇した瞬間にやるべきこと
6-1 絶対にやってはいけないこと
・大声を出す
・目を合わせる
・走って逃げる
・背中を見せる
6-2 正しい初期対応(最初の10秒が勝負)
①静かにペットを自分の足元に伏せさせる
②ゆっくり後退しながら距離を取る
③可能なら頑丈な建物や車に逃げ込む
6-3 最終手段(クマが5m以内に迫ったら)
①熊撃退スプレーを顔面に全力噴射
②同時にエアホーンを連続で鳴らす
③地面に伏せて首と腹を守る(死んだふり)
6-4 遭遇後の必須対応
・すぐに110番・119番通報
・ペットは傷がなくても翌日までに動物病院へ
・自治体の野生動物担当部署に必ず報告
地域別最新出没傾向と対策ポイント
北海道:母グマ+子グマの出没最多 → 電気柵必須
東北:果樹園近くの住宅地に集中 → 果実の完全撤去
長野・岐阜:標高500m以下の集落も危険 → センサーライト4方向設置
関西(兵庫・大阪北部):急増中 → まだ対策意識が低いため要注意
九州:ツキノワグマの行動範囲拡大 → 山菜取りシーズンに特に注意

子どもや高齢者がいる家庭での特別な注意点
クマ対策は家族全員で取り組むものです。特に小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、
以下の点に細心の注意を払いましょう。
8-1 子どもがペットを庭に出してしまう事故を防ぐ
・庭へのドアには「チャイルドロック+上部補助錠」を2重に設置する
・「クマが来るから夜は絶対に開けない」と絵本や動画で繰り返し教える
・子どもが鍵を持てないよう、スマートロック(スマホで開閉)を導入する
8-2 高齢者の「ついうっかり」を完全ブロック
・高齢者がゴミ出しをする時間帯は必ず付き添う
・ゴミ置き場に「クマ注意」の大きな看板+写真を貼る
・認知症の方がいる場合は、GPS付き靴や杖を検討する
賃貸住宅・アパートでもできるクマ対策
「戸建てじゃないから大丈夫」と思っていても、実際はマンション1階やテラスハウスでの被害も報告されています。
9-1 ベランダ・専用庭での対策
・生ゴミはベランダに一時置きしない(即室内へ)
・プランターの果菜類(ミニトマト・イチゴ)はすべて撤去する
・ペット用トイレ砂は臭いが強いタイプを避け、即交換する
9-2 共用部分での注意
・共用ゴミ置き場にペットフードを捨てない(クマが集合住宅全体を覚える)
・管理組合に「クマ対策強化」を提案する(電気柵やセンサーライト設置の実績多数)

ペットのストレスを最小限に抑える工夫
厳しい制限をかけるとペットがストレスで体調を崩すこともあります。以下の方法で両立させるようにしましょう。
10-1 室内遊びの充実
・庭に出られない分、室内にキャットウォークや大型キャットタワー設置する
・犬はロングハーネスで室内トレーナー遊びや知育玩具をフル活用する
・窓際にバードフィーダー(野鳥用)を置いて外を眺めさせる
10-2 代替散歩ルールの作成
・早朝・夕方は車で安全なドッグランへ移動する
・夜間は室内トレッドミル(犬用ランニングマシン)を導入する
・雨の日も安心の屋内ドッグラン施設をリスト化しておく
保険・補助金・支援制度も活用する
11-1 ペット保険の「野生動物による傷害」を確認
・アニコム損保「どうぶつ健保ふぁみりぃ」→野生動物傷害も補償対象
・アイペット「うちの子」→クマによる治療費も対象(要確認)
11-2 自治体の補助金制度
・電気柵設置費用:最大10万円補助(北海道・岩手・長野など)
・防護ネット購入費:5割補助(秋田県・山形県)
・センサーライト設置:3万円まで補助(岐阜県飛騨市など)
*詳しくはお住まいの市町村HPで「クマ対策 補助金」で検索してみましょう。
クマが「学習」してしまう前に絶対にやめるべき5つの習慣
クマは一度「ここは安全で餌がある」と覚えると、何度も戻ってきます。以下の習慣が続けば、確実にあなたの庭が「クマの食堂」になってしまいます。
12-1 夜間にゴミを外に出す
「朝に出すから」と玄関前に放置するのは絶対NGです。必ず室内か施錠された物置に保管しましょう。

12-2 ペットフードを「ちょっとだけ」外に置く
「5分だけ」「見てるから大丈夫」と思っても、その5分でクマが来ます。一度でも食べさせると、次からは確実に狙われます。
12-3 果実の落下を放置
柿・栗・ビワが地面に落ちたままでは最高のビュッフェです。毎日朝夕に必ず拾い集め、熟す前に収穫するか木自体を伐採するようにしましょう。
12-4 庭でバーベキューや生ゴミコンポスト
肉の臭いや野菜くずはクマを狂わせるほどの誘引力があります。コンポストは密閉型でも臭いが漏れるため、出没地域では使用中止しましょう。
ペットがクマに襲われたときの応急処置
不幸にもクマに襲われてしまった場合、最初の10分間の対応が生死を分けます。
13-1 出血が多い場合
・清潔なタオルで強く圧迫止血
・傷口を心臓より高く上げる
・ペット用止血帯(人間用はNG)を太ももや上腕に巻く
13-2 ショック状態になった場合
・体を横にし、頭を低くして保温する
・意識がある場合は少量の水を飲ませる
・絶対に無理に食べ物は与えない
13-3 移動時の注意
・小型犬はキャリーバッグ、中型犬以上は毛布で担架にして運ぶ
・首や背中を固定し、衝撃を与えないようにする
13-4 動物病院に連絡するときに伝えるべきこと
・「クマに襲われた」ことを最初に伝える(抗生剤の選択が変わります)
・襲われてから何分経っているか
・意識の有無・呼吸状態・出血量を正確に

買って後悔しない「最強セット」提案
以下の「最強セット」を一気に揃えると安心度が段違いです。
【最強セット内容】
●POLICE MAGNUM 熊撃退スプレー 大型
JSDPA認定の大型モデル(B-610)がKSP、Amazonで販売中。射程10m以上、噴射時間5秒超。
公的機関採用品で信頼性高く、ホルスター付き推奨。
●モンベル ベアホーン
モンベル公式ストアで「フロンティアーズマン ベアホーン 130dB」として販売中。
ガス式警笛で805m届く大音量。クマ生息地での定期使用に最適。
●Tractive GPS リアルタイムトラッカー
LTEリアルタイム追跡、仮想フェンス機能付き。バッテリー7日、アプリ連携。
●ムサシ 2000ルーメンセンサーライト
ムサシ RITEXシリーズの「LED-AC1017TA」(18W、2000ルーメン、追尾式センサー)が価格.com、
Yahoo!ショッピングで販売中。常夜灯機能付き、防雨型。
●ラングスジャパン クマ対策ネット 50m
ラングスジャパン(RANGS)の「ベアアタック」シリーズネット(高さ2m、耐クマ仕様)が公式サイト、
Amazonで販売中。50mロールで設置簡単。クマ対策記事で推奨。
●FIELDOOR 熊よけ鈴プレミアム
FIELDOOR公式、Amazonで「熊よけ鈴 マグネット式消音機能付き プレミアム」(ホイッスル付き)が販売中。
音途切れなし、軽量コンパクト。
クマが出没した後の「庭の再開タイミング」と「安全確認手順」
クマが一度でも庭に来た後は、最低でも1週間はペットを外に出さないでください。クマは「戻れば餌がある」と学習している可能性が高く、翌日以降も同じ時間帯に再訪することが非常に多いからです。安全に庭を再開するための手順は以下の通りです。
15-1 1週間は完全室内飼いに切り替える
ペットのストレスを軽減するため、室内遊びをさらに充実させましょう。

15-2 庭の痕跡を徹底チェック
・足跡(直径10cm以上の丸い跡)
・爪痕(フェンスや木に縦の傷)
・糞(黒くてベリーの種が混じる)
・ひっくり返されたゴミや物置の跡これらが残っていたら、さらに2週間延長してください。
15-3 再開初日は「5分ルール」でテスト
最初は5分だけリード付きで庭に出し、異常がなければ徐々に時間を延ばします。必ず大人が付き添い、熊撃退スプレーとホーンを手に持っていましょう。
15-4 再発防止の最終対策
クマが一度来た庭は「餌場認定」されているため、電気柵の導入を強くおすすめします。補助金を使えば実質負担は3万円程度で済む自治体も多いです。専門業者に相談して、庭全体を囲む本格的なものを設置しましょう。
まとめ:今日からできる「ペットをクマから守る」完全対策
クマ出没はもはや「山の話」ではなく、住宅街に住む私たち全員に関係する問題です。しかし、餌の管理、外出時間の制限、訓練、グッズの準備、この4つを徹底すれば、ほぼすべてのリスクを回避できます。大切な家族である愛犬・愛猫を失ってから後悔しないよう、さっそく今日から準備を始めていってみましょう。


