災害前に大型犬のマズルガードをしっかり慣らそう：避難生活を安心に過ごす為に

もし突然の大地震や記録的な豪雨で避難所へ行かざるを得なくなった場合、大型犬は特に「口輪（マズルガード）着用」を求められることが多いのが現実です。この記事では、災害が来る前に愛犬にマズルガードを完全に慣れさせる方法を、ゼロから徹底解説していきます。

なぜ災害前にマズルガードを準備するのか

避難所といえば、体育館の硬い床、24時間点灯の蛍光灯、隣の人の咳や赤ちゃんの泣き声、ペットの鳴き声が絶えない場所になります。特に大型犬にとっては「知らない匂い」
「知らない足音」「知らない手」の連続攻撃になります。普段は穏やかな子でも、1日で
限界が来ることも珍しくありません。2019年の台風19号では、避難所で大型犬が興奮してリードを振り回し、周辺の避難者が恐怖を感じて「ペットは外に」と指示された事例が
報告されています。また、2023年の能登半島地震でも、避難所で大型犬が吠え続けて他の避難者の睡眠を妨げ、結果として「ペット専用エリア」への強制移動を命じられたケースがありました。口輪は「攻撃性を抑える道具」ではなく、みんなの安心を買う保険でもあり、愛犬の命を守るバリアでもあります。

1-1. 他人の安全を守るための必須アイテム
大型犬の「遊び噛み」でも、人間にとっては危険なものになります。避難所で小さな子供が急に抱きつこうとした瞬間、反射的に口が開けば大惨事につながりかねません。ゴールデンレトリバーの噛む力は約140kg、ジャーマンシェパードなら200kgを超えると言われています。たとえ悪意がなくても、噛傷は重傷化するリスクが高いのです。口輪があれば「万が一の事故」をほぼゼロに近づけられます。実際、多くの自治体では「大型犬は口輪着用必須」と明記されており、ルールを守ることで「あの飼い主さんは配慮がある」と周囲から信頼を得られるようにもなります。

1-2. 愛犬自身の身体を守る保護具
避難所にはガラス片、薬の包装、壊れた家具の破片が散乱している事があります。好奇心旺盛な大型犬はすぐに口に運ぼうとする習性があります。誤飲してしまい腸閉塞を起こすリスクもあります。口輪は「誤飲防止ネット」としても機能しますし、パニック状態で自分の前足や尻尾を噛む「自傷行動」を防ぎ、歯の欠損や口内炎を回避する事もできます。ストレスで免疫力が落ちても、口輪が「物理的バリア」となって二次的な被害を防げます。さらに、避難所で床にぶつけて歯が折れるリスクも抑える事もできます。実際に、折れた歯から細菌が入り、数日で膿瘍ができてしまうケースも報告されています。

準備不足で起こる最悪のシナリオ

「そのときになってから買えばいい」と思っていると、その状況になってから様々なリスクが直面するかもしれません。以下に具体的なトラブルを挙げてみます。

2-1. 他人への加害リスク
暗闇で誰かが愛犬の尻尾を踏む→反射的に振り向いて噛む→軽い傷でも避難所全体が「ペット禁止」ムードになる事があります。過去には、軽い噛傷で避難所から退去を命じられ、車中泊を余儀なくされた家族の事例があります。また、噛傷事故は保険適用外になることも多く、金銭的負担も大きくなります。

2-2. 愛犬の受傷リスク
ストレスから興奮してケージに口をぶつけ、歯が折れて折れた歯から細菌が入り、数日で膿瘍形成する場合があります。避難所では抗生物質すら手に入らず、痛みで食事が取れなくなり脱水、低血糖になることも。。もし口輪を準備しておけば物理的ダメージを9割カットできます。さらに、異物を噛んで喉を詰まらせるリスクも回避できます。

2-3. 避難所入場拒否
自治体のルールで「大型犬は口輪必須」というところも有り、持っていなければ「ペットは屋外で」と指示されることもあります。真夏の車内放置は熱中症死、冬の屋外は低体温症で数時間で命を落とすリスクさえあります。

失敗しないマズルガード慣らし術

慣らしは愛犬のペースで進めます。嫌がるサイン（耳を伏せる、尻尾を下げる、逃げる）が出たら即中止するようにします。以下に慣らし手順をまとめましたので参考にしてみてください。

3-1. サイズの測り方
愛犬がリラックスしているときに、柔らかいメジャー（布製がおすすめ）で測りましょう。
鼻の長さ：鼻の先から目の端まで。
鼻の周り：鼻の一番太いところを測って、＋2cmのゆとり。
首の周り：普段の首輪の位置で測って、＋3cmのゆとり。
鼻の穴チェック：穴がふさがっていないか確認します。
ポイント
・水を飲める隙間が必ず必要です。
・子犬は毎月測り直しします。
・大型犬は力強いので、ベルトが3本以上ついた丈夫なタイプを選びましょう。

3-2. 匂いだけで慣らす
1日目：
口輪を床に置くだけにします。近づいてきたら「いい子！」とジャーキー1つあげます。
2日目：
口輪の内側にピーナッツバターを少し塗ります。舐めたら褒めてご褒美をあげます。
3日目：
手に持って鼻を入れます、1秒で外しすぐジャーキーをあげます。
コツ：
夜はベッドの横に置いておきます。

3-3. 超短時間でつける練習
スケジュール
1日目：
1秒つけてすぐ外す。ジャーキー×5回
2日目：
2秒×4回（おもちゃで遊んで気をそらす）
3日目：
5秒×3回（遊びながら）
5日目：
15秒×2回（散歩直前）
7日目：
30秒（大好きなおもちゃで遊ばせる）

3-4. 日常に取り入れる
朝の散歩：
最初3分だけ、だんだん増やし10分にします。
ご飯前：
つけてからフードをあげます。食べ終わったらすぐ外します。
ドッグラン：
10分つけて他の犬と遊ばせます。

3-5. 毎月のチェックと記録
毎月1回やるチェック
□ 鼻や頬に赤みはない？
□ 呼吸は苦しくない？（ハァハァ普通にできる？）
□ 水やご飯は口輪つけたまま食べられる？
□ 体重が変わったらサイズを見直し。

大型犬向けマズルガード厳選

選定基準の詳細
通気性：メッシュorバスケットでパンティングOK
耐久性：ナイロンorステンレスで大型犬のパワー対応
飲み水可：水飲み穴の大きさと位置
調整幅：ストラップ3本以上で微調整可能
重量：200g以下で長時間負担軽減

4-1. OneTigris メッシュマズル（Lサイズ）
特徴：折りたたみ可、重量100g、おやつ投入穴あり、ナイロン製。
適応犬種：ラブラドール、ゴールデンレトリバー（鼻短め）
購入者の声：「軽くて避難バッグに常備しやすい」

4-2. Dean & Tyler Wire Basket Muzzle（Size 10 / Lサイズ相当）
特徴：ステンレスワイヤー＋レザー、内側パッド、長時間装着可、耐久性抜群
適応犬種：ジャーマンシェパード、ロットワイラー（鼻長め）
購入者の声：「頑丈で安心。長時間でも擦れなし」

4-3. LinkHand バスケット型口輪（XLサイズ）
特徴：ワイヤーバスケット＋レザーストラップ、水飲み穴大、軽量180g、ずれにくい
適応犬種：シベリアンハスキー、秋田犬（顔幅広め）
購入者の声：「水飲みが楽で、夏場も安心」

4-4. Baskerville Ultra Muzzle（サイズ5）
特徴：ゴム製で柔軟、熱成型でフィット調整可
適応：鼻の形が特殊なミックス犬に
購入者の声：「カスタムフィットで快適。パンティングもOK」

準備スケジュール早見表

準備スケジュールの早見表になります。

犬種別カスタムポイントと実例

ゴールデンレトリバー（鼻短め・食いしん坊）
推奨：バスケット型（水飲み穴大）
コツ：ご飯前に装着練習がおすすめです。
実例：「うちのゴールデンは3日で慣れた。おやつ効果抜群」

ジャーマンシェパード（鼻長め・警戒心強）
推奨：長めのマズル対応、ステンレス製。
コツ：匂い慣らしを5日に延長します。
実例：「最初は唸ったけど、毎日少しずつ。1ヶ月で散歩30分OK」

ラブラドール（口大・陽気）
推奨：飲み込みやすい設計、おやつ穴あり。
コツ：遊びながら練習します。ボール投げ中に装着するとよいです。
実例：「食いしん坊なので、ジャーキーで即慣れ」

シベリアンハスキー（顔幅広・脱走癖）
推奨：ずれにくいバスケット型
コツ：首ストラップをしっかり締めます。散歩中に練習するとよいです。

よくある疑問

Q. 口輪って可哀想じゃない？残酷じゃない？
A. 適切なサイズ＋ポジティブ慣らしで、犬は「帽子感覚」になります。むしろ避難時の安全が最大の優しさになります。獣医師も「短時間の使用なら問題なし」と推奨しています。

Q. 夏の暑さ対策はどうする？
A. メッシュタイプを選び、装着は30分以内にします。こまめに休憩し、水飲み確認しましょう。避難所では扇風機の近くを確保するとよいです。

Q. 子犬（8ヶ月）でも始めていい？
A. 6ヶ月からのスタートを推奨します。成長に合わせてサイズアップしましょう。

Q. 老犬（12歳）でも遅くない？
A. 遅すぎることはないです。ゆっくり1秒からはじめます。認知症気味ならおやつ多めにします。

Q. 口輪着用で吠えなくなる？
A. 吠えは軽減されますが根本解決にはなりません。吠え対策は別途トレーニングを行いましょう。

いざという時の為にマズルガードに慣らしておこう

マズルガードの準備は、単なる「ルール対応」ではありません。愛犬の命、家族の安心、
周囲の信頼、避難所の居場所を同時に守る、必要な準備になります。災害は突然訪れますが、準備は今日から始められます。「備えあれば憂いなし」を実践して、愛犬と一緒に笑顔でいられる未来を手に入れましょう。