
災害が起き、猫と一緒に避難所で過ごすことになったとき、「耳が汚れている気がする」「最近よく頭を振っている」と感じる飼い主さんは少なくありません。普段はあまり気にならない耳垢が、避難生活をきっかけに急に増えたように見えることもあります。この記事では、日本の避難所事情を前提に、なぜ避難所で猫の耳垢が増えやすいのか、ストレスや睡眠環境との関係、そして病気かどうかを落ち着いて判断するための考え方と、避難所でも無理なくできるケア方法をやさしく解説していきます。事前に知っておくことで、いざという時も落ち着いて対応しやすくなります。
避難所で猫の耳垢が増えやすい背景
1-1 避難所特有の環境変化とストレス
避難所は、人の話し声や足音、照明の明るさ、他のペットの気配など、猫にとって刺激が多い環境になります。猫は環境の変化に敏感な動物で、強いストレスを感じると自律神経のバランスが乱れやすくなります。その影響で皮脂や分泌物が増え、耳垢が目立ちやすくなることがあるのです。
1-2 睡眠不足と耳のトラブルの関係
避難所では、環境の悪さから、猫も落ち着いて眠りにくくなります。睡眠が浅くなると体の回復力が落ち、皮膚や耳の状態にも影響が出やすくなります。耳垢の増加は、こうした小さな不調が重なったサインとして現れる場合があります。
耳垢が増えることで起こりやすい困りごと
2-1 猫自身の不快感と行動の変化
耳垢が増えると、かゆみや違和感から頭を振ったり、耳を掻いたりする行動が増えることがあります。これが続くと、耳の中を傷つけてしまう可能性があります。
2-2 避難所での周囲への影響
頻繁に掻く音や動きは、夜間の避難所では目立ちやすく、周囲の人の睡眠を妨げてしまうことも考えられます。猫の不調を早めにケアすることは、周囲とのトラブルを防ぐ意味でも大切になります。

害前からできる耳ケアの備え
3-1 日常的な耳チェックの習慣
普段から週に1〜2回、耳の入り口をそっと確認する習慣をつけておくと、変化に気づきやすくなります。赤みや強いにおいがなければ、軽く拭く程度で十分です。
3-2 触られることに慣らしておく
避難所で急に耳掃除をすると、猫が驚いてしまうことがあります。日常のスキンシップの中で、耳の周りに触れることに慣らしておくと、災害時も落ち着いてケアしやすくなります。
避難所到着後にできる現実的な対処
4-1 耳掃除は「入り口だけ」を意識
避難所では最初は無理なケアは避け、耳の入り口に見える汚れを優しく拭き取る程度にします。奥まで触らないことが、安全面でも重要です。
4-2 ストレスを減らす環境づくり
ケージにタオルをかけて視界を遮ったり、壁際に置いて刺激を減らすだけでも、猫の緊張は和らぎます。ストレスが軽減されると、耳垢の増加も落ち着きやすくなります。
犬と猫の違いを知っておく
5-1 猫の耳垢の特徴
猫の耳垢は、細かい毛や皮脂が混ざりやすく、ストレスで増えやすい傾向があります。犬と同じ感覚で掃除すると刺激が強くなるため、より優しいケアが必要です。
5-2 避難所で注意したいポイント
猫はケージ内で過ごす時間が長くなりがちなので、耳の異変に早く気づくことが重要になります。掻く回数が増えたら、早めに様子を確認してみましょう。

耳ケアを助ける防災グッズ
避難所で猫の耳ケアをする時に、持っておくと本当に助かるグッズをご紹介します。どれも普段の耳チェックやお手入れで使えるものばかりなので、防災バッグに入れても無駄になりません。特別なものを揃える必要はなく、シンプルで使いやすいものを選ぶのがおすすめです。
6-1 持っておくと安心なもの
ペット用イヤークリーナー:
これは液体タイプのクリーナーで、耳垢を柔らかく溶かして拭き取りやすくするものです。避難所で耳垢が固まって拭きにくい時に、少量をコットンに含ませて優しく拭くだけで効果があります。刺激が少なく猫の耳に優しいものが多く、日常の耳掃除にも使えます。例えば、エピオティックのようなクリーナーは、持ち運びやすい小ボトルタイプがあるので、防災バッグにぴったりです。
コットンやガーゼ:
普通の薬局で売っている無漂白のコットンパフやガーゼが一番安心です。クリーナーを含ませて耳の入り口を拭くだけなので、特別な道具がなくても代用できます。避難所では清潔なものが限られるので、予め数枚パックして防災バッグに入れておくとよいでしょう。
猫の敏感な耳に触れるものなので、漂白剤や香料が入っていないものを選ぶのがポイントです。
フェロモン系スプレー:
これは猫のストレスを和らげるフェロモンを含んだスプレーで、耳垢が増える大きな原因である緊張を軽くしてくれます。ケージやタオルに軽く吹きかけるだけで、猫が落ち着きやすくなり、結果的に耳を掻く回数が減ります。
よくある不安や疑問
避難所での耳垢ケアについて、飼い主さんが一番心配される点を、わかりやすくまとめました。
7-1 黒い耳垢が見られたら、すぐに病院に行くべきですか?
黒っぽい耳垢が出てきたら心配になりますよね。でも、必ずしも病気とは限りません。
避難所ではストレスや乾燥、ホコリなどで耳垢の色が濃くなることがよくあります。
強いかゆみ、頭を激しく振る、耳の入り口が赤く腫れている、悪臭がする、といった症状がなければ、まずは優しく拭き取って様子を見て大丈夫です。ただし、かゆみが続いたり、猫が痛がる様子が見られたら、避難所で落ち着いたタイミングで獣医師に相談するのが安心です。早めに気づいてケアすれば、ほとんどの場合で悪化を防げます。
7-2 避難所で耳掃除がうまくできない時はどうしたらいいですか?
初めての場所で猫が緊張して耳を触らせてくれない、という不安はとてもわかります。
そんな時は、無理に奥まで掃除しようとせず、耳の入り口だけを優しく拭くところから始めましょう。コットンに少量のクリーナーを含ませて、表面の汚れを取るだけで十分効果があります。猫が嫌がる場合は、フェロモンスプレーをケージに吹きかけて落ち着かせてから再挑戦するか、一旦休憩を挟むのも良い方法です。事前に、日常の中で耳触りを習慣にしておくとよいでしょう。
7-3 耳垢が増えると他の病気のサインになることはありますか?
耳垢が増えるのはストレスや環境変化が主な原因ですが、まれに耳ダニや細菌感染のサインの場合もあります。耳垢が黒くベタベタしている、強い臭いがする、耳の入り口が腫れている、頭を傾けるような仕草が見られる、といった変化があれば注意が必要です。避難所ではすぐに病院に行けないこともあるので、こうしたサインが出たら、持参した抗菌クリームで軽く保護しつつ、落ち着いたら専門家に相談しましょう。

耳垢の変化に気づくチェックポイント
耳垢が増えているかどうかを判断するサインを知っておくと、早めに対処しやすくなります。主なチェックポイントは以下の通りです。
・耳を頻繁に掻く回数が増える
・頭を振る動作が普段より目立つ
・耳の入り口や耳たぶが赤くなったり腫れたりしている
・耳からいつもより強い匂いがする
・耳を触ろうとすると嫌がって逃げる
これらの変化に気づいたら、すぐに耳の入り口を優しく確認しましょう。サインが出たら、無理に奥まで触らず表面の汚れを取るだけで十分です。
耳ケアと猫の体調・睡眠の関係
耳垢が増えるのは、耳だけの問題ではなく、猫の体全体のストレスが関係していることが多いです。避難所では睡眠が浅くなったり、食欲が落ちたりしやすいため、耳の不快がさらに体調を崩す悪循環を生みます。耳を掻きむしって傷ができてしまうと、痛みで眠れなくなり、ストレスがさらに増すこともあります。だからこそ、耳ケアは「耳だけ」ではなく、全体の体調管理とセットで考えるのが効果的です。耳掃除の合間には、食欲や眠りの様子を観察するようにしましょう。お気に入りの毛布やおもちゃをケージに入れて安心感を与えたり、静かな時間帯に軽く撫でてリラックスさせたりすると、睡眠の質が上がり、耳垢の増加も抑えやすくなります。また、体調が安定すれば、耳のトラブルも自然に落ち着いてきます。

避難所における耳トラブル発生の流れ
避難所での猫の耳垢トラブルは、突然ひどくなるというより、少しずつ変化が積み重なって現れることがほとんどです。
変化の始まり:
最初は「耳を掻く回数がちょっと増えたかな?」という小さな変化から始まります。猫が新しい環境に慣れていないため、緊張や睡眠不足が続き、耳の中の皮脂や老廃物が溜まりやすくなります。
環境の影響:
日本の避難所は体育館や公民館のように広い空間が多く、空調の調整が難しい場合がよくあります。冬場は空気が乾燥して耳の皮膚がカサつき、耳垢が固まりやすくなります。夏場は湿度が高くなって耳の中が蒸れ、雑菌が繁殖しやすくなることもあります。こうした季節の影響に加え、周囲の騒音や人の気配がストレスになると、耳垢の増加が目に見えて加速します。
進行の流れ:
数日経つと「頭を振る回数が多くなった」「耳の入り口が赤っぽくなった」と感じるようになり、放置するとかゆみが強まって掻きむしり、傷ができてしまう流れになりやすいです。
早めの気づきがカギ:
この流れを知っておけば、「少し掻くようになったな」と思った時点で早めにケアすれば、ほとんど悪化せずに済みます。小さな変化に気づくことが、トラブルを最小限に抑える一番のポイントです。
耳垢ケアを無理にしないための考え方
避難所では「完璧に掃除しなければ」と焦ってしまう気持ちもとてもわかります。でも、無理に耳の奥まで触ろうとすると、猫に強いストレスを与えて逆効果になることがあります。
無理をしない:
そこで大切なのは、「完璧を目指さない」考え方です。耳垢は完全に取り除く必要はありません。見えている部分を優しく拭き取って清潔に保つだけで、十分に悪化を防げます。
柔軟な判断例:
「今日は耳を少し掻いているけど、赤みがないから様子を見よう」「頭を振る回数が減ったから今日は掃除しなくても大丈夫そう」こうした判断も、立派なケアの一つです。
対応のコツ:
無理をせず、猫の様子を優先しましょう。猫がリラックスしているタイミングを見計らって短時間でサッと拭く、嫌がったらすぐに止めてフェロモンスプレーで落ち着かせる、という柔軟な対応が、結果的に猫のストレスを減らし、耳の状態も安定します。

耳ケアとあわせて意識したいストレス対策
耳垢ケアは耳だけではなく、猫のストレス全体を減らしてあげることが大事です。避難所では、においや音が大きな刺激になるので、耳の不快を抑えるためにも、ストレス対策を一緒に考えましょう。
12-1 においと音のストレスを減らす工夫:
避難所は消毒液の強いにおいや、他の人の生活音、ペットの鳴き声が混ざり合って、猫にとってかなりきつい環境といえます。そんな時、ケージに使い慣れたタオルや毛布を入れてあげると、自分のにおいに包まれて安心感が得られます。猫は自分の匂いがする場所で落ち着きやすいので、ストレスが軽減され、結果的に耳垢の増加も抑えやすくなります。 また、可能ならケージの側面や上部を布で軽く覆って、視界と音を少し遮るのが効果的です。完全に閉じ込めると息苦しくなるので、通気性の良い布を使い、半分くらい覆う程度にしましょう。こうした小さな工夫で猫の緊張が和らぎ、耳を掻く回数が減るケースも多いです。
12-2 睡眠環境を整えることの重要性:
猫がしっかり眠れるかどうかは、体調全体に大きく影響します。耳を掻き続けて眠れない状態が続くと、疲れが溜まって回復が遅れ、耳の違和感がさらに強くなる悪循環に陥りやすいです。 避難所では夜間も騒音が続くことがありますが、できるだけ刺激を減らしてあげましょう。ケージを静かな壁際に置き、タオルで覆って暗くする、またはお気に入りのおもちゃや毛布を入れて安心できる空間を作ってあげます。「猫が丸まって眠れているか」「夜中に起きて掻いていないか」を観察するのも大事です。睡眠が取れていれば、体調が安定し、耳の問題も自然に落ち着きやすくなります。 耳ケアとストレス対策をセットで考えると、猫の不快感が全体的に減り、避難所生活が穏やかになります。
動物病院に相談するタイミングの目安
避難生活中はすぐに受診できない場合も多いですが、次のような状態が続く場合は、落ち着いたタイミングで獣医師に相談することをおすすめします。
・耳垢が急激に増え続けている
・強いにおいがする
・耳を触ると激しく嫌がる
・耳の中が赤く腫れている
一時的なストレスによる変化なのか、治療が必要な状態なのかを判断してもらうことで、飼い主さんの不安も軽くなります。

防災バッグに耳ケア用品を入れる考え方
耳ケア用品は、特別なものをたくさん用意する必要はありません。普段から使っているものを、そのまま防災バッグに「追加で1セット」入れておくだけで十分です。
・低刺激のイヤークリーナー
・コットンやガーゼ
・使い慣れたタオル
これらは耳掃除だけでなく、体を拭いたり、ケージ内の環境を整えたりと、幅広く使えます。
日常使いできるペットの耳ケアグッズを確認するまとめ:避難所でも猫の耳と心を守るために
避難所で猫の耳垢が増える背景には、騒音やにおい、睡眠不足など、猫にとって負担の大きい環境変化があります。大切なのは、完璧な耳掃除をすることではなく、「悪化させない」「早めに気づく」ことです。日常からの耳チェック、無理のないケア、落ち着ける環境づくりを意識するだけで、災害時の不安は大きく減らせます。耳垢は体調やストレスのサインでもあるため、食欲や睡眠とあわせて全体を見る視点を持つことが重要です。万一のときに慌てないために、今日からできる小さな準備を積み重ねていきましょう。その積み重ねが、災害時でも愛猫の穏やかな時間を守る力になります。


