日本は地震や台風、豪雨など、いつ大きな災害が起きてもおかしくない状況になってきていますが、家族と同じくらい大切なペットも、もちろん一緒に守りたいですよね。でも、いざ災害が起きて避難所に行ったら「ペットは入れません」と言われたら、あなたはどうしますか？過去の災害では、大好きなペットを置いて泣く泣く避難せざるを得なかった人が、本当にたくさんいました。だからこそ、今のうちにしっかり準備しておくことが何よりも大切です。実は、公的な避難所はとても混雑していて、ペットと一緒に入れる場所はまだまだ少ないのが現実です。いざというときに「ペットはダメです」と言われたら、行く場所がなくなってしまうかもしれません。そんなとき、本当に頼りになるのがペットと一緒に泊まれる民間のシェルターやホテルです。事前に登録しておけば、優先的に受け入れてもらえるので、とても安心です。
この記事では、なぜ今のうちに準備が必要なのか、準備をしないとどんなつらいことが起きるのか、日頃からできる簡単な準備、そして本当に役立つグッズやペットと入れるシェルターの探し方を、誰にでも分かりやすくお伝えしていきます。
災害に備えペットと一緒に避難する準備をしておくべき理由
1-1 家族全員の命を守るため
災害が起きた瞬間、「ペットを置いていく」という選択は、ほとんどの飼い主さんにとってありえない事でしょう。でも、行き先が決まっていないと、自宅に残らざるを得ないケースが実際に多く発生しています。自宅に残れば、余震や火災、津波などの二次災害に巻き込まれる危険性が高まります。でも事前にペット同伴可能な避難先を確保しておけば、
家族全員が一緒に安全な場所へ移動する事ができます。これが一番大きな理由の一つです。
1-2 避難所の混乱を避けるため
大規模災害が起きると、公的な避難所はすぐに満員になります。ペット同伴が可能な場所でも、先着順で締め切られてしまうことがほとんどです。一方、民間のペット同伴シェルターやホテルは予約・登録制のところが多く、事前に手続きを済ませておけば優先的に受け入れてもらえます。「どこにも行けない」という最悪の状況を防げるのです。
1-3 ペットのストレスと健康被害を最小限にするため
知らない場所、大きな音、知らない人たちに囲まれると、ペットは極度のストレスを感じます。パニックになって脱走したり、食事が取れなくなったり、嘔吐や下痢を起こしたりする子も少なくありません。普段からキャリーや避難グッズに慣れさせておき、落ち着ける環境を整えてあげれば、心と体のダメージをかなり減らせます。結果として、飼い主さん自身の精神的な負担も軽くなります。
1-4 復旧までの長期滞在に備えるため
避難生活は数日で終わるものではありません。1週間、1ヶ月以上続くことも珍しくありません。その間、ペットの食事・水・トイレ・医療が不足すると、最悪、命に関わる事態にもなります。事前に必要な物資と行き先を確保しておくことで、長期化しても安心して過ごすことができます。
準備をしない場合の深刻なリスクとは
2-1 避難所で「ペット不可」と言われてしまう
公的避難所の多くは、いまだにペット同伴が難しいのが現実です。急に民間シェルターを探しても、皆が同じ状況になる為、すでに満室で入れないこともあります。最悪の場合、車中泊や屋外で過ごすことになり、人もペットも体力を奪われ、感染症やエコノミークラス症候群のリスクが高まってしまいます。
2-2 ペットが逃げ出してしまう
地震の揺れやサイレン、ヘリコプターの音で驚いたペットがパニックになり、リードが外れて逃げ出してしまう事例が後を絶ちません。一度逃げ出すと、災害時の混乱の中で再会するのは極めて困難です。
2-3 食料・水・トイレが足りなくなる
人間用の備蓄はあっても、ペット用のものは忘れがちです。避難生活が長引けば、ペットフードや水が底をつき、栄養失調や脱水症状を引き起こす原因にもなります。また、トイレができないストレスで膀胱炎や便秘になる子もいます。
2-4 二次的な健康被害が増える
ストレスから免疫力が下がり、普段はかからない感染症にかかったり、持病が悪化したりするケースが報告されています。特に高齢のペットや持病のある子は注意が必要になってきます。
日頃からやっておきたいペット防災の習慣
3-1 家族で避難計画を立てる
家族みんなで地図を広げて、ペットと一緒に避難するルートを複数決めておきましょう。車を使う場合は、ペット用のシートベルトやキャリーの固定方法も実際に試しておきます。所要時間も測っておくと安心です。
3-2 定期的に避難訓練を行う
「地震が起きたらキャリーに入る」練習をしましょう。最初はおやつを使って、キャリー＝安心の場所だと覚えてもらいます。慣れてきたら、家から出て近所の公園や指定避難場所まで歩く練習も加えましょう。訓練を重ねるほど、本番での冷静さがほんとに違います。
3-3 ペットの健康と情報を常に最新に
毎年必ず受ける狂犬病予防注射や混合ワクチンの証明書は、コピーを作って防災バッグに入れておきます。マイクロチップを入れている場合は、登録情報の住所・電話番号が最新であることも必ず確認しましょう。引っ越しをしたのに更新を忘れる方が意外と多いです。
3-4 近所の人と顔見知りになっておく
近隣にペットが苦手な方やアレルギーの方がいるかもしれません。普段から挨拶を交わし、「災害時はお互い助け合いましょう」と声を掛けておいておくと、いざというときに協力し合えます。
ペット毎に気をつけたいポイント
4-1 犬の場合
散歩のときに避難ルートを歩いてみて、時間と距離を把握しておきましょう。大型犬は頑丈なハーネスとリードを二重にし、小型犬は抱っこ紐やキャリーで運べるように練習します。吠え癖のある子は、災害時の大きな音（サイレンや録音した地震音）に少しずつ慣らすトレーニングも効果的です。
4-2 猫の場合
猫は環境の変化に非常に敏感です。普段からキャリーを部屋に置いておき、中でお昼寝できるようにしておくと安心です。避難先では脱走防止のため、キャリーにネットカバーをかけるか、ハーネスを着けておくことをおすすめします。また、トイレはいつもと同じ砂・同じ形のトイレを使うと、使ってくれやすいです。
4-3 小動物・鳥・爬虫類の場合
ハムスターやうさぎ、インコ、カメなど、小動物も忘れがちです。ケージごと運べるよう、軽くて持ち手のあるものを選びましょう。温度管理が命の生き物は、保冷剤や保温剤も必ず準備しておきましょう。
ペットと泊まれる民間シェルターの上手な探し方と予約方法
5-1 まずは複数の施設に登録を
全国にペット同伴可能なホテル・貸別荘・専門シェルターが増えています。代表的な例として以下があります。
うちトコ動物避難所マップ（全国展開）
NPO法人人と動物の共生センターが運営する全国の動物避難所をマッピングしたサービスで、ペット同行避難を支援するプラットフォームです。公式サイト（uchitoko.jp）で全国の登録避難所を検索できます。
Tier Heim KOKUA（関東・中部）
NPO法人ティアハイムコクアが東京・原宿で運営する保護犬シェルターで、レスキュー活動やボランティアを展開しています。主に関東エリアですが、保護活動は広範です。
ピースワンコ・ジャパン（関西）
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する犬の保護・譲渡プロジェクトで、広島を中心に全国で活動しています。殺処分ゼロを目指し、災害時支援も含みます。関西エリアを含む広域でも対応しています。
ペットホテル併設型シェルター（各地域）
具体的な名称ではなくカテゴリですが、日本全国で複数の施設が存在します。例えば、株式会社ANELLA Groupの保護シェルター併設型ペットサロンや、認定NPO法人キドックスのドッグシェルターなど。各地域のペットホテルが災害時預かりを兼ねる形態が一般的です。
5-2 登録に必要な書類と流れ
多くの施設で必要なものは
・狂犬病予防注射済票（コピー可）
・混合ワクチン証明書（1年以内）
・飼い主の身分証明書
・ペットの写真
です。登録料は無料～5,000円程度。オンラインで5分ほどで完了します。登録後は年1回の情報更新のお知らせが来ますので、忘れずに手続きをしておきましょう。
5-3 空き状況はこまめにチェック
年に2～3回はログインして空き状況や規約変更がないか確認しましょう。LINEやアプリで通知してくれる施設も増えています。
5-4 複数の施設に登録しておく
1か所だけでは不安なので、近隣＋少し離れた場所の合計3～5施設に登録しておくと安心です。災害の規模によっては近場が使えないこともあります。
本当に役立つおすすめ防災グッズ
6-1 キャリー・バッグ
アイリスオーヤマ エアトラベルキャリー（小型犬・猫用）
上部・正面の両方から出し入れでき、飛行機にも持ち込可能基準をクリアしています。
6-2 折りたたみ食器・給水器
リッチェル おでかけ給水器
片手で蓋を開けてそのまま飲ませられます。
6-3 長期保存水・フード
アサヒ おいしい水 天然水 長期保存水（防災備蓄用）500ml×24本
純粋に近い軟水で、ペットにも安心です。
6-4 トイレ用品
ライオン ニオイをとる砂 軽量タイプ 5L
ユニ・チャーム デオトイレ 専用取替シート
匂いをしっかり抑えてくれます。
6-5 その他あると便利なもの
・ユニ・チャーム ペット用ウェットティッシュ
・ペットキッス 歯みがきシート
・ペティオ 迷子よけタグ付き首輪
・EMBRACE ペット用救急セット
6-6 総合防災セット
LEONIMAL ペット防災セット
必要なものがコンパクトにまとまっています。
ペット防災 早わかりチェックリスト
ペット防災の早わかりチェックリストになります。活用してみてくださいね。
| できてる？ | 項目 | やること・備考 |
|---|---|---|
| □ | 避難計画の作成 | 地図に書き込み、家族全員で共有 |
| □ | 月1回の避難訓練 | キャリーに入る練習＋近所まで一緒に歩く |
| □ | 民間シェルター3か所以上登録 | 証明書類を事前にアップロードしておく |
| □ | 証明書・マイクロチップ更新 | 住所・電話番号が最新か必ず確認 |
| □ | 防災バッグの中身点検 | 3か月に1回は消費期限をチェック |
| □ | ペットの健康診断 | 年1回以上、持病がある子は半年に1回 |
| □ | 近所の人との顔見知り | 普段から挨拶＋災害時の協力をお願いしておく |
まとめ：今日から始めることが明日の家族とペットの命を守る
ペットと一緒に避難することは、もう「できればいいな」ではなく「必ずできるようにする」時代です。民間シェルターへの事前登録、日々の小さな訓練、グッズの準備――どれも今日から始められることばかりです。大切な家族とペットを災害から守るために、ぜひ一歩踏み出してみましょう。準備が整ったときの「これで大丈夫」という安心感は、何にも代えがたいものです。あなたと家族そしてペットが、どんな災害にも負けず一緒に過ごしていける未来を、心から願っています。
