
10歳を過ぎると、関節の柔軟性が失われ、階段を上るのがつらそうに、または散歩の距離が短くなったりする変化に気づく飼い主さんは少なくありません。私の実家の愛犬が12歳になった頃、朝の起床時に後ろ足を少し引きずる様子を見て、早急にケアを始めました。関節のトラブルは、加齢による自然な現象ですが、放置すると痛みが慢性化し、日常の質が大きく損なわれます。特に、地震や台風などの災害時には、避難の移動や避難所の硬い床が、こうした弱った関節に深刻な負担をかけ、回復が遅れるケースが少なくありません。
この記事では、シニア犬の関節ケアに欠かせないサプリメントとクッションの選び方を中心に、災害前に準備する重要性と日常の取り入れ方を、詳しくお伝えしていきます。
シニア犬の関節が弱るメカニズム
シニア犬の関節問題は、軟骨の摩耗から始まります。軟骨はクッションの役割を果たし、
骨同士の摩擦を防ぎますが、加齢とともに水分が減少し、弾力性が失われます。これにより、関節液の分泌が減り、炎症が起きやすくなります。結果として、変形性関節症が進行し、痛みや腫れを伴う歩行障害が発生します。7歳以上の犬では、この症状が顕著に現れやすいと言われています。
1-1. 災害時の影響
避難の際、急な階段や段差を越える動作は、通常の2倍以上の負荷を関節にかけることになります。軟骨がすでにすり減っている状態だと、小さな亀裂が入り急性炎症を起こす
事があります。
1-2. 避難所到着後の問題
避難所到着後も、コンクリートの床で長時間横たわることで、関節周囲の筋肉が硬直し、
血流が悪化してしまいます。痛みが慢性化し、回復に数ヶ月もかかるケースもあります。

災害前に準備する理由
避難時の移動は、シニア犬にとって最大の試練とも言えます。地震発生後、すぐに家を出なければならない場合、愛犬を抱えての階段下りや、車への移動が必要になってきます。
関節が弱っていると、抱き上げた瞬間に痛みで暴れたり、足を踏ん張れずに転倒したりするリスクがあります。
2-1. 移動中の負担
実際、シニア犬が避難途中で動けなくなり、家族が交代で抱っこして移動した事例が複数
報告されています。  

2-2. 避難所生活の課題
避難所生活では、床の硬さが問題になります。体育館のフローリングは、関節に直接的な衝撃を与えやすく、夜間の睡眠中に痛みが出てくる場合があります。又、スペースの制約から、愛犬を狭いエリアに留め置くことになり、同じ姿勢が長時間続くため、関節の可動域がさらに狭まることになります。
2-3. 事前準備の重要性
事前の準備として、サプリで関節の潤滑性を高め、クッションで床の硬さを緩和出来るようにしておけば、こうした環境変化に対応する事ができます。
関節ケアをしなかった場合の具体的なリスク
ケア不足のリスクは、避難時だけでなくその後の避難解除された後にも及びます。劣悪な環境で関節炎が進行した犬は、急な方向転換で靭帯を損傷しやすく、道路の瓦礫や段差でも骨折になる可能性が出てきます。
3-1. 避難所へ移動中のリスク
治療が遅れれば、関節の変形が固定化し、歩行不能になるケースも。。避難所では、獣医師の常駐が限定的で、痛み止めの投与すら即座に受けられないことが多いです。
3-2. 二次的な健康被害
避難所での二次的な健康被害として、硬い床による圧迫で、関節周囲の皮膚が擦れ、床ずれが発生してしまいます。
3-3. 長期的な影響
痛みから食事が取れなくなり、栄養不足で免疫力が低下します。そこへストレスが加わると、関節以外の臓器にも影響が及び、腎臓や心臓の負担が増えていきます。

日常で実践する基本ステップ
関節ケアの第一歩は、獣医師の定期検診です。半年に1回のレントゲン検査で、軟骨の厚みや関節液の状態をチェックしてもらいましょう。
4-1. 検診と食事管理
食事はシニア犬用フードに切り替え、カロリーを10%減らしつつ、タンパク質を維持します。肥満は関節負荷を増大させるため、体重を理想値の±5%以内に保つようにしましょう。  

4-2. 運動の工夫
運動は、負荷の少ないものを選びます。1日2回の15分散歩を基本に、坂道を避け、平坦な道を選ぶようにします。水泳や水中トレッドミルは、関節への衝撃がゼロに近く、筋力強化にもおすすめです。
4-3. 自宅ケア
自宅では、ヨガマット上で軽いストレッチをします。飼い主が優しく後ろ足を曲げ伸ばしするだけでも、可動域が広がっていきます。マッサージも効果的で、関節周囲を円を描くように揉むと血流が改善してきます。

シニア犬の関節の為のおすすめサプリメント
サプリメントは、軟骨成分の補充と抗炎症作用が重要になります。以下は、シニア犬の為のおすすめ商品になります。
5-1. グリコフレックスステージIII
価格:約4,500円(60粒)。ミドリイガイから抽出したグルコサミン、コンドロイチン、MSMをバランス配合。DMGが免疫をサポートし、関節の修復を促進します。
5-2. アンチノールプラス
価格:約3,800円(60粒)。ニュージーランドミドリイガイオイルを主成分に、PCSO-524という独自の脂質で炎症を抑制します。DHA/EPAの吸収率が高く、関節腫れの軽減に特化します。
5-3. 犬用サプリ・毎日散歩
価格:約2,800円(60粒)。グルコサミン、イミダゾールペプチド、コンドロイチン、
2型コラーゲン、プロテオグリカン、ビタミンD、ミドリイガイ、MSMを8成分配合。国産でチキン味の錠剤タイプで与えやすく、関節の柔軟性を日常的にサポートします。
関節に優しいクッションの選び方と使い方
クッションは、体圧分散と保温性が重要になります。低反発やジェル素材が、関節の圧迫を軽減します。以下は、シニア犬の為のおすすめ商品になります。
6-1. ペティオ 老犬介護用 床ずれ予防ベッド
価格:約5,000円(Mサイズ)。高密度ウレタンフォームで、体重を均等に分散してくれます。防水カバー付きで、避難所の湿気対策にもなります。
6-2. ワンエイド リラクッション
価格:約3,200円(Mサイズ)。マイクロビーズで流動性が高く、愛犬の姿勢にフィットします。V字溝デザインで呼吸を妨げず、関節の自然な曲がりをサポートします。
6-3. SARAFA ペットケアマット 3Dエアー
価格:約4,000円(Mサイズ)。体圧分散に優れた3Dエアー素材で、厚さ5cmの高反発クッションです。洗えるカバー付きで、シニア犬の寝たきり予防に適し、避難バッグにも収納しやすいです。

早わかり表:シニア犬関節ケア&防災準備
シニア犬関節ケア&防災準備の早わかり表になります。参考にしてみましょう。
| 項目 | 内容 | タイミング・目安 | 
|---|---|---|
| 獣医師検診 | レントゲンで軟骨・関節液チェック | 半年に1回 | 
| サプリ開始 | グルコサミン・緑イ貝系を1日1回 | 7歳から継続 | 
| 体重管理 | 理想体重±5%以内、シニアフード使用 | 毎日測定、月1回調整 | 
| 運動ルーチン | 15分散歩×2回、水中運動週1回 | 毎日 | 
| クッション導入 | 低反発タイプを日常ベッドに | 購入後すぐ、避難バッグ予備 | 
| 避難バッグ準備 | サプリ1ヶ月分、クッション折りたたみ | 常備、3ヶ月ごと点検 | 
| 避難訓練 | クッション使用で移動・スペース練習 | 月1回 | 
| 健康手帳作成 | 関節診断・サプリ記録・獣医連絡先 | 検診後すぐ更新 | 
まとめ:シニア犬の関節ケアで災害時も安心を
シニア犬の関節ケアは、毎日の簡単な習慣から始まり、災害時の大きな安心へとつながります。サプリで軟骨をしっかり補強し、クッションで体への負担をやわらげるシンプルな方法で、愛犬の元気を守ることができます。こうした日々の積み重ねが、避難時も愛犬が痛みなく移動でき、家族みんなで安全に避難所生活を送れる基盤となります。  


