
多くの飼い主さんは、災害時のペット用品としてフードや水、トイレシートなどをしっかり準備していると思いますが、ペットの「耳のケア」まで考えている方はまだ少ないのが現状です。避難所や車中泊、在宅避難では湿気・ストレス・埃っぽい環境が重なり、耳トラブルが起きやすくなります。耳垢がたまってかゆくなったり臭いが強くなったりすると、ペットが不快で落ち着かなくなってしまうことも。。「耳掃除を嫌がるから後回しにしてしまう」「どのクリーナーがいいかわからない」という方も、防災の視点で一度耳ケアを準備しておくと、いざという時に安心です。耳クリーナーには液状タイプとシートタイプなどがあり、ペットの性格や避難スタイルによって使いやすさが違ってきます。
この記事では、避難所・在宅避難を想定しながら、犬猫の耳クリーナーの選び方と比較のポイントをわかりやすく解説していきます。
災害時にペットの耳トラブルが起きやすい理由と注意点
1-1 避難所や車中泊で耳の環境が悪化しやすい理由
避難所(体育館など広い場所)では、たくさんの人やペットが集まるため、ほこりや抜け毛が常に舞っています。また、広い空間で換気が悪いので湿気がこもりやすく、特に梅雨や台風シーズンになると湿度が急上昇します。その結果、垂れ耳の犬(コッカー・シーズー・ゴールデンなど)は耳がぴったり閉じて通気が悪いため、耳の中がムレムレになりやすくなります。これによってマラセチア(カビ)や細菌が急増し、外耳炎が一気に悪化してしまうことが多いです。車中泊の場合も、車内は熱がこもりやすく、換気が限定的で空気の流れが悪いため、耳の中が蒸れまくりになります。普段は問題のない子でも、数日でかゆみが出たり、強いにおいがしたり、耳だれが増えたりしやすくなります。環境の変化だけでトラブルが起きるケースがとても多いです。
1-2 ストレスと耳トラブルの関係
災害時はペットも人間と同じくらい強いストレスを受けます。大きな音、見知らぬ場所や人・動物、ケージ生活などが続くと、ストレスが蓄積します。ストレスが続くと免疫力がガクッと低下し、耳の中にいるはずの常在菌やカビが異常増殖してしまいます。その結果、外耳炎を起こしやすくなります。特に子犬、高齢犬、アレルギー持ちの子は要注意です。
1-3 注意点と防災時の備え
すでに炎症が起きている耳を自己判断で強く洗浄したりゴシゴシ拭いたりするのは絶対に避けましょう。傷ついて悪化したり、痛みで耳を触られるのを極端に嫌がるトラウマになることがあります。防災準備として、非常持ち出し袋には普段使っている刺激の少ない耳洗浄液や耳用ウェットシート(獣医師おすすめのもの)を入れておきましょう。断水時でも使える清潔なコットンやガーゼも便利です。また、日頃から健康な時に耳を触ることに少しずつ慣らしておく(ご褒美をあげながら練習する)と、いざという時に役立ちます。災害時は環境の変化とストレスが重なるため、耳トラブルが急増しやすいです。「いつもとちょっと違うかも?」と感じたら、すぐに動物病院やペット救護の獣医師に相談できる準備をしておくと安心です。

防災を意識した耳クリーナーの選び方
災害時は水が使えなかったり、ペットがストレスで耳を触られるのを嫌がったりするので、「低刺激で扱いやすい」ものを選ぶ事が大切です。普段使い慣れたものを防災バッグに入れておくと、いざという時に安心です。
2-1 成分の安全性:低刺激・アルコールフリーを基本に
避難所や在宅避難では、水が不足して何度も洗い流せないことが多いです。だからこそ、低刺激で拭き取りやすいタイプがおすすめです。アルコールが強いものは殺菌力が高いですが、耳のデリケートな皮膚を刺激して炎症を悪化させる可能性があります。特に猫・シニアペット・皮膚が敏感な子には、アルコールフリーや天然由来・中性の穏やかな成分を選びましょう。獣医師監修や「低刺激」「ノンアルコール」と明記されたものが安心です。(例:ペプチドテクノロジーや天然ハーブ配合のものなど、洗浄力がありながら優しい製品が多いです)
2-2 形状の違い:液体タイプとシートタイプの比較
どちらが絶対に良いわけではなく、「どんな災害状況で使うか」で選び分けましょう。
液体タイプ(洗浄液):
耳の奥の汚れを浮かせて落としやすいので、垂れ耳の犬や普段から耳垢が溜まりやすい子にぴったりです。耳に数滴入れてマッサージし、コットンやガーゼで拭き取ります。しっかり洗浄したいときに強いですが、水やコットンが必要になるので、断水時は少し手間がかかります。
シートタイプ(ウェットシート・耳専用シート):
水不要でサッと取り出して拭くだけなので便利です。準備がいらず、ペットが嫌がりにくいです。耳の奥まで深く洗浄するのは厳しいので、軽い汚れや日常メンテナンス向きです。指サック型や綿棒型もあるので、扱いやすいものを選びましょう。
2-3 携帯性と保存性:防災バッグに入るか
防災用品として考えると、サイズ・重さ・保存期間が超重要です。
・大容量ボトルは日常使いに便利ですが、持ち出し袋には重くてかさばるので避けましょう。
・小分けボトル(25〜100ml程度)やシートのパックタイプがおすすめです。
・保存期間が長いもの(未開封で数年OKのもの)を優先しましょう。
・日常で使っているものを小さいサイズで予備として防災袋にストックしておくと、ペットも慣れているので安心です。
まとめのポイント
防災意識で選ぶなら、アルコールフリー・低刺激で、水不要のシートか小容量の液体を優先します。愛犬・愛猫の耳の状態や性格に合わせて、普段から試して慣らしておくのが一番の防災対策になります。何かトラブルが出たら、無理せず獣医師に相談しましょう。

条件別に考える耳クリーナーの向き・不向き
3-1 短期避難(数日以内)を想定する場合
数日程度の避難を想定するなら、シートタイプが扱いやすいです。水やコットンが不要で、避難所でも目立たずケアできます。
3-2 長期避難や在宅避難を想定する場合
1週間以上の避難や在宅避難を想定するなら、液体タイプを日常から使い慣れておく方が安心です。耳の奥に汚れが溜まりやすい犬種では、定期的な洗浄が必要になる場合があります。
3-3 徒歩避難か車避難かで変わるポイント
徒歩避難:荷物は最小限します。コンパクトなシートタイプがオススメです。車避難:ある程度のスペースが確保できるため、液体タイプも選択肢になります。
人気の耳クリーナーを防災目線で比較
ここでは代表的なタイプを、防災の視点から整理します。
ビルバック エピオティック:
液体タイプで耳の奥の汚れを浮かせやすいです。犬猫兼用。垂れ耳犬や汚れが溜まりやすい子に向いています。コットンが必要な点と、持ち出し時はややかさばる点に注意が必要です。
アニハ イヤークリーナー:
低刺激を重視した液体タイプです。敏感な猫や子犬に向いています。強い汚れには回数が必要な場合があります。
ミミキュアワン:
抗菌作用を重視した設計になっています。長期の在宅避難を想定する家庭向きです。やや容量が多いため持ち出しよりは自宅備蓄向きです。
スーパーキャット らくらく耳そうじシート:
シートタイプです。水不要で避難所向きです。奥の洗浄よりも日常の軽いケアに向いています。
ララクリア:
刺激が少ない設計で犬猫兼用です。コストを抑えたい家庭向きです。コットンが別途必要になります。
*このように、液体かシートか、刺激の強さ、容量、携帯性によって向き不向きが分かれます。
【比較表:防災目線での耳クリーナー選び】
| タイプ | メリット | 注意点 | 向いている人・状況 |
|---|---|---|---|
| 液体タイプ | 奥の汚れを浮かせて落としやすい | コットンやガーゼが必要 ややかさばる・水が必要な場合あり | 垂れ耳の犬(コッカー・ゴールデンなど) 在宅避難中心の家庭 |
| シートタイプ | 水不要でサッと拭ける 携帯しやすく軽量 | 耳の奥まで深く洗浄するのは難しい | 徒歩避難が多い地域 短期避難・車中泊想定 避難所中心 |
| 低刺激タイプ | 猫・シニア・敏感肌の子に優しい 刺激が少なく安心 | 重度の汚れには時間がかかる場合あり | 猫を飼っている家庭 高齢犬・敏感な子 アレルギー持ちの子 |
| 抗菌重視タイプ | 湿気・ほこりの多い環境で菌増殖を抑えやすい 安心感が高い | 価格がやや高め 成分が強い場合刺激になることも | 長期避難・避難所長期滞在を想定 湿度が高い季節の地域 |
ここまで整理すると、「どの商品が一番か」ではなく、「自分の状況に合うかどうか」で選ぶことが大切だと分かります。

耳掃除が苦手な犬猫への慣らし方
耳掃除を嫌がる子はとても多いですが、災害時はストレスで耳トラブルが起きやすいので、普段から少しずつ慣らしておく事が重要です。
5-1 日常での慣らしが「非常時の落ち着き」につながる
耳を触られるのを怖がる犬猫は少なくありません。特に猫や小型犬は敏感で、最初は警戒心が強いです。災害時に「初めて耳を触る」となると、パニックになりやすく、ケアが難しくなります。だからこそ、健康な普段の時期に少しずつ慣らしておくことが大切です。
慣らし方のステップ(短時間・毎日少しずつ):
まずは耳の外側を優しく撫でるところからスタートします。
耳に触れる → すぐにご褒美(おやつ・大好きなおもちゃ・褒め言葉)を与える。
これを繰り返して「耳を触られる=いいこと!」と覚えさせます。
次に耳の入り口を軽く触る、耳を少しめくる練習。
まだ嫌がる場合はそこでストップ。無理に進めず、その日は終了。
耳クリーナー(液やシート)は、最初は匂いを嗅がせるだけから。
液体タイプなら手に少しつけて嗅がせ、シートなら袋から出して見せるだけでもOK。
徐々に耳の周りに軽く当てる → 拭く → ご褒美の流れに。
ポイント:
1日1〜2分以内で終わらせる。嫌がったらすぐにやめて、次の日はもっと短くします。
「耳掃除=怖い・痛い」と思わせないことが大事です。慣れてくると、避難所や車中泊でも落ち着いてケアしやすくなります。
5-2 避難所で耳掃除をする際の注意点
避難所では、ペットは別室や屋外スペースになることが多く、周りに人がたくさんいて騒がしい環境になります。そんな中で無理に耳掃除をすると、ペットがパニックになって逃げ出したり、他の人に迷惑をかけたりする場合があります。
避難所での工夫:
・周囲が落ち着いている時間帯を選ぶ(夜遅くや早朝など人が少ないとき)。
・キャリーやクレートの中、またはタオルで体を軽く包んで安心感を与えてから行う。
・短時間でサッと終わらせる(1分以内に済む程度)。
・水が使えない場合は、水不要の耳用ウェットシートや清潔なコットンで優しく拭くだけに留める。
*耳に赤み・強いにおい・膿のような分泌物が見られたら、自己判断で何度も洗浄せず、可能な限り獣医師やペット救護の窓口に相談しましょう。
5-3 シニア犬・猫の場合の注意点
シニア期になると皮膚が薄くなり、刺激に弱くなるので、若い頃と同じケアをすると乾燥や炎症を起こしやすくなります。
シニアペット向けのポイント:
・低刺激・アルコールフリーの耳ケア用品を優先する(刺激が強いものは避ける)。
・洗浄回数を増やしすぎない(健康な耳なら月に1回程度で十分。汚れチェックは週1回でOK)。
・耳だけでなく、全体の体調変化も一緒に観察する(食欲低下、元気がない、歩き方がおかしいなど)。
*避難生活では食事や睡眠のリズムが乱れやすいので、耳トラブルを単独で見るのではなく、ペットの全体の健康状態の一部として考えるようにしましょう。
シニアの子はストレス耐性が低いので、慣らし練習もよりゆっくり・優しく進めてあげましょう

よくある悩み
耳ケア用品の防災準備で「これでいいのかな?」と迷う飼い主さんがとても多いです。
ここでは、よくある3つの悩みをシンプルに整理して、自分に合う判断の仕方をまとめました。
6-1 「日常用と防災用は分けるべき?」
必ずしも分ける必要はありません。一番大事なのは「使い慣れていること」です。ペットが慣れていない新品を災害時に急に使うと、ストレスが増えてケアが難しくなります。
分けてもOKな例:
大容量の液体タイプを自宅の日常ケア用に使い、小型のシートタイプや小分けボトルを防災バッグに入れておきます。
分けない方が簡単な例:
普段からコンパクトで低刺激の製品(例:小さいボトルやシート)を使っているなら、それをそのまま防災バッグに入れておきます。管理が楽で、ペットも「いつものもの」なので安心できます。
判断のポイント:
自分の避難スタイル(徒歩避難が多い?在宅避難中心?)と、ペットの性格に合わせて決めましょう。「普段使っているものを小分けで予備にストック」するのが一番現実的でおすすめです。
6-2 「高価な製品の方が安心?」
価格が高い=安心とは限りません。大事なのは「価格」ではなく、この3点です。
・成分の安全性(アルコールフリー・低刺激・天然由来が理想)
・自分のペットとの相性(実際に使ってみて嫌がらないか、トラブルが出ないか)
・避難スタイルとの一致(水が使えない状況で扱いやすいか、軽量か)
高価な製品でも刺激が強ければ合わないことがあり、手頃な価格のもの(獣医推奨の低刺激タイプ)でも十分に役立つケースがたくさんあります。まずは普段から試して相性のいいものを選んでみましょう。
6-3 「どれを選んでも不安が残る」場合
完璧な「これ1つで全部OK」な製品はありません。不安が残る時は、「最悪の状況を想定して優先順位をつける」のがコツです。
・徒歩避難の可能性が高い地域 → 軽量・コンパクト・水不要のシートタイプを優先します。
・在宅避難が中心 → 日常ケアの延長で使える液体タイプ+コットンを備えておきます。
・ペットが耳を触られるのを極端に嫌がる → 低刺激で匂いの少ないものを最優先します。

防災目線での最終チェックポイント
耳クリーナー選びを整理すると、次の3つに集約されます。
1つ目:避難所・在宅避難のどちらを想定しているか
2つ目:ペットの年齢・耳の形状・敏感さ
3つ目:持ち運びやすさと日常での使いやすさ
この3点が明確になると、「自分には液体タイプが合っている」「短期避難用にシートを追加しよう」といった判断がしやすくなります。
避難生活でも使いやすいペットのケア用品を確認する製品を選ぶこと自体が目的ではなく、「迷いを減らしておくこと」が防災の本質です。
まとめ:犬猫の耳掃除対策は“選び方”が安心につながる
災害時にペットの耳トラブルが起きる可能性はゼロではありません。しかし、だからといって特別な医療知識や高額な製品が必須というわけでもありません。
大切なのは、
・自分の避難スタイルを把握すること
・ペットの性格や体質を理解すること
・日常から少しずつ慣らしておくこと
この積み重ねです。
液体タイプが向いている人もいれば、シートタイプの方が現実的な人もいます。シニア犬や敏感な猫を飼っている家庭では、低刺激を優先する判断も安心材料になります。
ペットの状況に合う耳クリーナー・ケアグッズを確認する「どれが一番良いか」ではなく、「自分の状況に合っているかどうか」で選ぶことが、防災対策ではとても重要です。今すぐ完璧に備える必要はありません。まずは、耳掃除の習慣を少し見直すことから始めてみましょう。その一歩が、避難所でも在宅避難でも、愛犬・愛猫を守る安心感につながります。


