
地震の揺れや騒がしい環境、知らない人や他の動物との出会いは、ペットの不安や恐怖を引き起こし、行動や健康に変化が現れることがあります。飼い主の皆様がこうしたストレスサインを早く見つけて、適切に対応することで、ペットの心と体の健康を守り、避難所での生活をスムーズにする事ができます。
この記事では、犬、猫、鳥、小動物(ハムスター、ウサギ、モルモットなど)のストレスサインと、災害時に役立つ観察のポイント、対処法をわかりやすくご紹介していきます。
なぜ災害時のペットのストレスサインの重要性
災害時は、ペットにとって普段とまったく異なる環境になります。地震の揺れや避難所の騒音は、ペットに不安を与え、以下のような問題を引き起こすことがあります。
健康への影響:
ストレスが続くと、食欲が落ちたり、体調が悪くなったりすることがあります。
行動の変化:
不安や恐怖から、いつもと違う行動(攻撃的になったり、隠れたり)が見られることがあります。
避難所でのトラブル:
ペットの行動変化が、他の避難者やペットとの関係に影響を与える可能性があります。飼い主さんがペットのストレスサインを早めに気づき、対処することで、これらの問題を減らせます。
犬のストレスサインと観察のコツ
犬は人と一緒に過ごすことが多く、環境の変化に敏感です。災害時にどんなサインが見られるか、チェックしてみましょう。
2.1 犬のストレスサイン
体のサイン:
過度なハアハア(過呼吸): 暑さや興奮だけでなく、不安で呼吸が速くなることがある。
震えや動きの硬さ:体が震えたり、動きが止まったりする。特に地震の揺れや大きな音に反応する。
過剰な毛づくろい:体を舐めたり噛んだりする行動が増える。これはストレスを和らげようとするサインです。
行動のサイン:
吠える頻度の増加:不安や恐怖で、いつもより吠えることが多くなる。知らない人や音に反応しやすいです。
隠れる・逃げようとする:ケージや家具の下に隠れたり、出口を探すような動きをする。
食欲の低下:ストレスでフードや水をあまり取らなくなる。
2.2 観察のコツ
普段との違いをチェック:
犬の普段の行動(食事量や吠える頻度)を覚えておき、変化に気づきましょう。
環境への反応:
避難所の騒音や人の多さにどう反応するか、特に夜の行動に注目します。
健康の確認:
ストレスが原因で下痢や嘔吐がないか、こまめにチェックします。
2.3 対処法
安心できる場所を作る:
ケージに慣れた毛布やおもちゃを入れて、落ち着けるスペースを用意します。
短い散歩でリフレッシュ:
避難所の外で少し歩いたり遊んだりして、ストレスを発散させます。
優しく声をかける:
飼い主さんが落ち着いた声で話しかけると、安心感を与えられます。

猫のストレスサインと観察のコツ
猫は自分のテリトリーが大好きで、環境が変わると特にストレスを感じやすいです。災害時にどんなサインが出るか見てみましょう。
3.1 猫のストレスサイン
体のサイン:
過剰な毛づくろい:ストレスで体を舐めすぎて、毛が抜けることがある。
食欲やトイレの変化:食べない、トイレを使わない、または変な場所で排泄する。
目が大きくなる:不安や恐怖で瞳孔が開くことがある。
行動のサイン:
隠れる行動:ケージの隅や狭い場所に隠れて、出てこなくなる。
威嚇する:うなり声やシャーッという音、尻尾を振るなど、攻撃的な態度をとる。
鳴き声が増える:普段静かな猫がやたらと鳴く場合、ストレスが原因の可能性あり。
3.2 観察のコツ
隠れる時間の増加:
社交的な猫が隠れる時間が長くなったら、ストレスを疑いましょう。
トイレの変化:
避難所のトイレ環境に慣れず、排泄行動が変わるかチェックします。
触れ合いの反応:
触られるのを嫌がったり、逆に過剰に甘える場合も注意です。
3.3 対処法
隠れられる場所を作る:
ケージに布をかけるか、段ボールで簡易的な隠れ家を用意します。
慣れた匂いを使う:
家から持ってきた毛布や飼い主さんの服をケージに入れて、安心感を与えます。
静かな場所を確保:
避難所で他のペットや騒音から離れた場所を選びます。

鳥のストレスサインと観察のコツ
インコやオウムなどの鳥は、とても繊細で環境の変化に弱いです。災害時のサインをチェックしましょう。
4.1 鳥のストレスサイン
体のサイン:
羽が抜ける:ストレスで自分で羽を抜く行為が見られる。
食欲が落ちる:餌や水をほとんど取らなくなる。
変な姿勢:羽を膨らませてじっとする、頭を下げ続ける。
行動のサイン:
鳴き声の変化:いつもより高い声や連続して鳴く。
落ち着きのなさ:ケージ内でバタバタ動く、止まり木から落ちる。
攻撃的な態度:噛んだり、羽を広げて威嚇する。
4.2 観察のコツ
羽の状態:
羽が乱れたり、抜けた羽が多い場合は要注意です。
鳴き声の変化:
普段と違う音や頻度に変化がないか確認します。
動きの変化:
活発な鳥が動かなくなったり、逆に落ち着きがなくなる場合があります。
4.3 対処法
ケージを覆う:
暗い布でケージを部分的に覆い、刺激を減らします。
安定した場所:
ケージを揺れない静かな場所に置き、安心感を与えます。
好きな玩具:
慣れた玩具や止まり木を用意して、リラックスできる環境を作ります。
小動物のストレスサインと観察のコツ
ハムスター、ウサギ、モルモットなどの小動物は、環境の変化に特に敏感です。どんなサインが出るか見てみましょう。
5.1 小動物のストレスサイン
体のサイン:
食欲の低下:餌や水を取らなくなる。特にウサギは危険なサインです。
毛並みが悪くなる:毛がパサつく、抜ける、または汚れる。
震えや動かない:体が震えたり、じっと動かなくなる。
行動のサイン:
隠れる・活動が減る:巣材やケージの隅に隠れて、動かなくなる。
異常な行動:ケージを噛む、ぐるぐる走る(ハムスター)、足を踏み鳴らす(ウサギ)。
過剰な毛づくろい:ストレスで体を舐めすぎる。
5.2 観察のコツ
活動時間の変化:
夜行性のハムスターが昼間に動く、または動かなくなる場合があります。
排泄の変化:
糞の量や形が変わる(特にウサギは腸のトラブルに注意)。
音への反応:
地震の揺れや騒音に過剰に反応するかどうかを確認します。
5.3 対処法
ケージを安定させる:
静かで揺れない場所に置き、巣材を多めに用意します。
好きな餌で安心感:
好きな野菜やペレットを少し与えて、食欲を促します。
触れ合いを控える:
過度な触れ合いはストレスになるので、必要最低限にします。

どんなペットにも共通!災害時のストレス対策
ペットの種類に関わらず、災害時のストレスを減らすための共通の方法をご紹介します。
6.1 安心感を与える
慣れたアイテムを使う:
家から持ってきた毛布やおもちゃをケージに入れて、安心感を与えます。
優しく声をかける:
飼い主さんが落ち着いた声で話しかけると、ペットもリラックスします。
刺激を減らす:
避難所で他のペットや人から離れた場所を選びます。
6.2 環境を整える
暗い空間を作る:
ケージに布をかけて、外部の刺激を減らします。特に猫や鳥に効果的です。
温度を管理:
地震後の寒さや夏の暑さに気をつけ、快適な温度を保ちます。
毎日チェック:
ストレスサインを見逃さないよう、健康状態をこまめに確認します。
6.3 獣医師さんと相談
事前に相談:
災害前に獣医師さんにストレス対策を聞いておきます。
連絡先を準備:
避難所近くの獣医師さんの連絡先をメモしておきます。

早わかり表:ペットの災害時ストレスサインと対処法
ペットの災害時ストレスサインと対処法になります。
参考にしてみましょう。
ペットの種類 | 主なストレスサイン | 観察のコツ | 対処法 |
---|---|---|---|
犬 | 過度なハアハア、震え、吠える頻度増加、隠れる、食欲低下 | 普段との違い、騒音への反応、健康状態 | 慣れた毛布、短い散歩、優しい声かけ |
猫 | 過剰な毛づくろい、隠れる、威嚇、鳴き声増加 | 隠れる時間、トイレの変化、接触の反応 | 隠れ家、慣れた匂い、静かな場所 |
鳥 | 羽が抜ける、食欲低下、鳴き声変化、攻撃性 | 羽の状態、鳴き声の変化、動きの変化 | ケージを覆う、安定した場所、好きな玩具 |
小動物 | 食欲低下、毛並み悪化、隠れる、異常行動 | 活動時間、排泄の変化、音への反応 | ケージ安定、好きな餌、触れ合いを控える |
まとめ:ペットと安心な避難生活のポイント
災害時にペットのストレスサインを早く見つけて、適切に対応することは、ペットの健康を守り、避難所での生活をスムーズにするために大切です。以下のポイントを実践してみましょう。
・犬、猫、鳥、小動物ごとのストレスサインを理解し、普段と比べる。
・慣れたアイテムや隠れ家で安心感を与える。
・環境を整え、獣医師さんのアドバイスを活用する。
・避難所のルールを確認し、周囲に配慮する。
