
災害が起き避難所で生活する状況になると、犬や猫は私たちが思っている以上に強いストレスを受けます。見慣れない場所、聞き慣れない音、知らない人や動物の気配が続く環境は、犬猫にとって非日常そのものです。その影響として、避難所で嘔吐をしてしまう犬や猫は決して珍しくありません。特に、食事や水は取れているのに吐いてしまう場合、ストレスが大きく関係していることがあります。一方で、多くの飼い主さんは「ストレス対策が必要なのは分かっているけれど、どんなグッズを選べばいいのか分からない」「本当に防災用として意味があるのか判断できない」と迷いがちです。市販されているグッズは種類が多く、日常ケア向けなのか、避難所のような非常時にも使えるのか、その違いが分かりにくいからです。
この記事では、避難所という日本特有の防災環境を前提に、犬猫のストレス嘔吐を防ぐためのグッズについて、選び方と比較の考え方を整理していきます。どれが「正解」かを決めつけるのではなく、「どんな状況・どんな飼い主には、どの選択肢が合いやすいか」を判断できるようになることを目的としています。
避難所という非常時を想定して、
実際に防災目的で選ばれているストレス対策グッズを確認してみましょう。
なぜ避難所でペットのストレス嘔吐が起こりやすいのか
避難所という非日常の場所で、ペットがストレスから嘔吐してしまうのは、意外とよくあることです。ここでは、その主な理由をわかりやすく整理していきます。
1-1 環境の急変がペットの体に与える影響
災害が起きると、短時間でペットの生活環境がガラッと変わってしまいます。自宅では決まった場所で寝て、慣れた匂いや音に囲まれていたのに、避難所では狭いスペースに長時間閉じ込められ、周りの音や人の動きがずっと続きます。この急な変化は、ペットの自律神経を乱しやすく、胃腸の働きが不安定になって嘔吐につながることがあります。犬の場合、周りの犬の気配や人の出入りに興奮しやすく、落ち着けない状態が続くと胃酸が増えすぎて吐き気が出やすくなります。一方、猫は環境変化にすごく敏感で、キャリーやケージの中で緊張が溜まり、空腹時に胃液を吐いてしまうことがよくあります。
1-2 日本の避難所事情とストレスの重なり
日本の避難所は、自治体や施設によってかなり差があります。ペット同行が認められていても、専用スペースが狭かったり、静かな場所が確保しにくかったりすることが多いです。そのため、ペットは自由に動けず、ストレスがどんどん溜まりやすくなります。また、断水や停電で普段通りの食事・水やりができなくなることもあります。フードの種類が変わったり、食事のタイミングが乱れたりすると、消化不良とストレスが重なって、嘔吐のきっかけになりやすくなります。
1-3 嘔吐が続くことで起こりやすい二次的な問題
ストレスによる嘔吐は一時的なことも多いですが、避難所では清掃や衛生管理が難しいので、吐いた後の体調がなかなか回復しないケースがあります。特に水分が十分に取れない状況だと、脱水症状になりやすく、子犬・子猫やシニアのペットはとくに注意が必要です。だからこそ、嘔吐が起きてから慌てるのではなく、事前にストレスを軽くする為の備えをしておくことがとても大切です。

ストレス嘔吐対策グッズの選び方
避難所のような非常時でストレス嘔吐を防ぐグッズを選ぶときは、「災害時に本当に役立つか」をイメージしながら選ぶ事が大切です。ここでは、実際に避難所生活を想定した選び方のポイントをわかりやすくまとめました。
2-1 安全性と長く使えるかを最優先に考える
避難所では、数日から数週間、同じグッズを使い続ける可能性があります。その為、成分や素材の安全性は一番に考えるべきポイントになります。強い香りや、体質によっては合わないものが入っているものは、かえって体調を崩す原因になることもあります。防災用として選ぶなら、「短時間のお試し」ではなく「長く使っても安心か」を基準にしましょう。自然由来の成分や、獣医師が推奨しているようなものが特におすすめです。
2-2 使いやすさと持ち運びやすさで選ぶ
災害時は、落ち着いて準備する余裕がほとんどありません。避難バッグにサッと入れられて、誰でも簡単に使えるグッズであれば、それだけで大きな安心感につながります。特に、電源が必要なものは停電時に使えなくなる可能性があるため、代替手段もあわせて考えておくと安心です。徒歩避難や車中泊などを想定する場合は、スプレーやサプリメントのようにコンパクトで持ち運びやすいタイプがオススメです。
2-3 日常で慣らしておくことがポイント
ストレス対策グッズは、災害時に初めて使うよりも、普段の生活で少しずつ慣らしておくことで大切です。避難所のような緊張した環境で、突然見知らぬ匂いや物に触れると、ペットによっては警戒して逆効果になることもあります。そのため、「普段から使えるか」「嫌がらずに受け入れてくれるか」は、防災グッズを選ぶ上で非常に大切なポイントになります。日常の散歩前やお留守番前に少しずつ使って、ペットの反応を確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

条件別に考えるおすすめグッズの方向性
3-1 短期避難と長期避難で考え方は変わる
一時的な避難が想定される場合は、即効性があり、すぐに使えるグッズが向いています。
移動中や避難直後の不安を和らげるために、スプレータイプや着用タイプのグッズは特に使いやすいでしょう。一方、避難生活が長引く可能性がある場合は、継続使用しやすいサプリメントや環境型グッズがおすすめです。
3-2 徒歩避難・車避難それぞれの注意点
徒歩避難では荷物を減らす必要があるため、軽量で多用途に使えるグッズがオススメです。車避難の場合は、車内という限られた空間でのストレス対策が重要になるため、匂いや装着感が強すぎないグッズを選ぶとよいでしょう。どちらの場合も、「避難所に到着するまで」と「到着してから」の両方を想定して準備することが、後悔しない選択につながります。
ストレス嘔吐対策グッズ比較
ここからは、代表的なストレス対策グッズを、防災の視点で整理しながら比較していきます。重要なのは「どれが一番良いか」ではなく、「どんな飼い主・どんな避難状況に向いているか」を見極めることです。
4-1 フェロモン系グッズ:環境ストレスを和らげたい人向け
フェロモン系グッズは、犬や猫が本来持っている安心感に関わる匂いを再現し、気持ちを落ち着かせることを目的としています。
犬向け:
部屋全体に作用するディフューザータイプや、移動時に使いやすいスプレータイプがあります。避難所で他の犬の気配に緊張しやすい犬や、興奮から嘔吐しやすい犬に向いています。ただし、ディフューザーは電源が必要なため、停電時は使えない点に注意しましょう。
猫向け:
キャリーやケージに直接使えるスプレータイプがオススメです。環境変化に敏感でストレス性の嘔吐を起こしやすい猫に特にオススメです。ただし、匂いに敏感な猫もいるため、事前に少量から試しておくとよいでしょう。
4-2 サプリメントタイプ:体の内側から穏やかに整えたい人向け
サプリメントは、即効性よりも、継続的にストレス耐性をサポートする役割があります。
牛乳由来成分やアミノ酸を使ったものが多く、避難所生活が長引いた場合の体調管理に向いています。また、日常の食事に混ぜて使えるため、防災対策を日常生活と両立させたい飼い主さんにオススメです。特に、シニア犬猫や子犬・子猫など体力に不安がある場合は、嘔吐後の回復を考える上でもオススメのタイプになります。
4-3 着用・物理的サポート系:音や刺激に弱い犬猫向け
体に軽く圧をかけるベストやウェアは、雷や騒音が苦手なペットのために使われます。
避難所では人の声や物音が常にあるため、音刺激に弱い犬に特に向いています。電源や消耗品が不要で、繰り返し使える点が防災向きです。ただし、サイズが合わないと逆にストレスになるため、事前の試着は忘れないようにしましょう。
4-4 ストレス発散・気晴らし系:退屈や不安が原因の犬向け
噛むおもちゃや知育トイは、避難所での退屈や緊張を紛らわすために使われます。犬は不安を行動で発散することが多く、噛む・舐めるといった行動が落ち着きにつながる場合があります。ただし、衛生管理や誤飲のリスクには注意が必要です。防災用として選ぶ場合は、洗いやすく壊れにくいものを選ぶとよいでしょう。

防災視点での選び方の整理
これまで紹介してきたグッズを、防災の判断材料として整理してみましょう。
フェロモン系グッズ:
環境ストレスが強いペットや、避難所で落ち着ける空間を作りたい人向けです。
サプリメント:
長期避難を想定して体調を整えたい人や、日常ケアと防災を両立させたい人に向いています。
着用タイプ(物理的サポート系):
音や刺激に敏感なペット、停電時でも使える備えを重視する人におすすめです。
おもちゃ系(ストレス発散・気晴らし系):
不安を行動で発散するペットや、避難直後の気晴らしを用意したい人に向いています。
ここまで整理してみると、ペットの性格や避難状況によって、向いているグッズの方向性が違うことがわかります。条件ごとに比較しながら、自分に合いそうな選択肢を確認してみましょう。
条件別に比較できるペット用ストレス対策グッズを見てみるよくある疑問点と判断のヒント
6-1 嘔吐が出てからでも間に合うのか
グッズはあくまで補助的な役割として捉えておきましょう。嘔吐が続く場合は、まず獣医師への相談が前提になりますが、落ち着ける環境を整えることで回復をサポートすることは期待できます。事前に予防的な準備をしておくことで、いざというときにも慌てずに対応できる点が大きなメリットといえます。
6-2 多頭飼いの場合の考え方
多頭飼いの場合、1つのグッズで全員をまかなうより、それぞれの性格に合わせて選ぶことが重要になります。香り系グッズは相性が分かれやすいため、個別に対応できる方法を検討すると失敗が少なくなります。

まとめ:後悔しないためのストレス嘔吐対策
避難所でのペットのストレス嘔吐は、特別なケースではなく、多くの家庭で起こり得る問題です。だからこそ、「必要になってから考える」のではなく、「迷ったときに判断できる材料」を事前に持っておくことが、防災の備えにつながります。自分のペットの性格、避難の想定、生活スタイルに合わせて、「これなら使えそう」と思える選択肢を一つ持っておくだけでも安心感は違います。
防災は、完璧を目指すより「これならできそう」と思える備えを一つ持つことが大切です。避難所生活を想定したグッズを、無理のない範囲で確認してみましょう。
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