家族の一員であるペットを連れて避難所に受け入れてもらえないケースが実はとても多いのが現実です。その結果、車の中で数日間過ごすことになる方が増えています。もしガソリンが途中でなくなったり、道が通れなくなったりしたら、本当に大変なことになりますよね。本記事では、ペットと一緒に車で広域避難をするときに最も大切な「燃料を切らさない方法」と「安全にたどり着けるルートの選び方」を中心に、事前にやっておくべきこと、準備を怠った場合のリスク、日ごろからできる習慣、実際に役立つグッズまで、わかりやすくお伝えしていきます。
なぜ今、ペットと車で避難する準備が必要なのか
1-1 避難所にペットが入りにくい現実
最近の災害を見ても、ペットと一緒に体育館などの避難所に入れる場所はまだまだ少ないです。アレルギーや衛生面の問題で、車の中や駐車場で過ごさざるを得ない方がたくさんいます。そのため、車が「移動手段」ではなく「臨時の住まい」になることを前提に準備しておく必要があります。
1-2 燃料と道のトラブルが一番怖い
災害直後はガソリンスタンドが大混雑し、数時間待っても給油できないこともあります。
また、いつも通っている道が通行止めになると、急に別の道を探さなければいけません。
こうした状況で慌てないためには、事前の準備が欠かせません。
1-3 ペットは環境の変化に非常に敏感
人間でもストレスがたまる状況なのに、ペットはもっと敏感です。長時間の車移動や騒音、温度変化で体調を崩したり、パニックになったりします。少しずつ慣らしておくことで、そうしたトラブルを大幅に減らせます。
1-4 家族みんなで話し合っておくことも大切
避難は一人でするものではありません。家族で「どこへ向かうか」「誰が何を担当するか」を事前に決めておくと、混乱が少なくなります。ペットの世話は誰がするのか、運転を交代するタイミングなども含めて、みんなで共有しておきましょう。
準備をしないと、どんなリスクがあるか
2-1 ガソリンがなくなり動けなくなる
渋滞の中で燃料が底をつくと、もうどこにも行けません。真夏は熱中症、真冬は低体温症の危険が一気に高まります。過去の災害でも、暖を取ろうとして一酸化炭素中毒になってしまった事例があります。
2-2 知らない道で危険な場所に迷い込む
いつも使っている道が使えなくなると、急に別の道を選ばなければいけません。でも電波が悪かったり、地図が見えなかったりすると、土砂崩れや浸水の危険箇所に入ってしまうことがあります。
2-3 ペットのストレスがピークに達する
狭い車内で長時間過ごすと、ペットは大きなストレスを感じます。鳴き続けたり、ケージから出ようとしたり、最悪は脱走してしまうこともあります。そうなると家族みんなが疲れ果ててしまいます。
2-4 二次災害に巻き込まれる可能性も
燃料切れで動けなくなると、もし津波や土砂崩れが迫ってきても逃げられません。実際に、東日本大震災では車で避難中に津波に流された事例が多数ありました。「もう少し早く出ていれば」という後悔を残さないためにも、準備は本当に大切です。
日ごろからやっておくと本当に楽になる習慣
3-1 ガソリンは半分になったら必ず入れる
残量が半分を切ったら、どんなに面倒でも給油するようにしましょう。これだけで、いつ避難命令が出てもすぐに出発できます。
3-2 月に1回は違う道を走ってみる
近場でもいいので、ペットを連れて少し遠出をしてみましょう。そのときに代替ルートを通ったり、休憩できそうな場所をチェックしたりすると、いざというときに役立ちます。
3-3 キャリーや車に少しずつ慣れさせる
週に2～3回、短時間でもキャリーに入れておやつをあげたり、エンジンをかけたまま少しだけ車内で過ごしたりしてみましょう。繰り返すうちに「車＝怖くない場所」になっていきます。
3-4 避難バッグを車に常備する
水、フード、トイレシート、薬、リードなど、ペット用品をまとめたバッグをトランクに置いておきます。人間用の食料や衣類も一緒にしておくと、荷物を降ろす手間が省けます。
3-5 家族で避難シミュレーションをする
年に1回、実際に車に乗り込んで家族で避難の練習をしてみましょう。所要時間やペットの様子、荷物の出し入れのしやすさなど、気づくことがたくさんありますよ。
燃料を絶対に切らさないための具体的な方法
4-1 日常の給油ルールを徹底する
残量が半分を切ったら必ず給油する、大雨や台風の予報が出たら即満タンにする、この2つを鉄則にしましょう。
4-2 予備のガソリン缶を1つ用意する
20リットルの金属製ガソリン缶をトランクに固定しておくと安心です。消防法に対応したものを選び、漏れ防止キャップがついているものを選びましょう。
4-3 避難中の節約運転テクニック
渋滞ではできるだけエンジンを切り、短時間のアイドリングに留めます。ポータブル電源でスマホや扇風機を動かせば、車のバッテリー負担を減らせます。
4-4 ガソリンスタンドの優先順位リストを作る
自宅から避難先までのルート上で、24時間営業やセルフのスタンドを5～6軒ピックアップしておきます。混雑状況をラジオやアプリで確認しながら、効率的に回れるようにしておくと時間のロスが減ります。
4-5 軽油車の方は冬の凍結に注意
軽油は気温が低いと固まってしまうことがあります。冬場は凍結防止剤入りの軽油を入れておくか、添加剤を常備しておくと安心です。
安全なルートの作り方
5-1 3本のルートを決めておく
自宅から安全そうな場所まで、最短ルート・少し遠回りの安全ルート・高速道路ルートの3本を用意します。
5-2 危険な場所はあらかじめ外しておく
川沿いやがけっぷち、トンネルが多い道はできるだけ避けましょう。ハザードマップを見ながら危険箇所に印をつけておくとわかりやすいです。
5-3 ペットのための休憩ポイントを決める
1時間に1回は外の空気を吸わせてあげられる公園や広い駐車場をマークしておきます。
5-4 オフライン地図をスマホにダウンロード
GoogleマップやYahoo!カーナビのオフラインマップ機能を活用してみましょう。電波が届かない山間部でも道に迷わずに済みます。
5-5 家族で地図を共有する
作ったルートを家族全員のスマホに入れておくと、誰が運転しても同じ道をたどれます。
紙の地図も1枚車に置いておくと、バッテリーが切れたときの保険にもなります。
ペットが車内で少しでも快適に過ごすための工夫
6-1 ケージはしっかり固定する
シートベルトや荷物固定ベルトでがっちり固定しましょう。急ブレーキのときも倒れないようにします。
6-2 温度管理を最優先にする
夏は保冷剤と扇風機、冬は湯たんぽや使い捨てカイロを活用します。車内温度計を置いて、常に適温を保つようにしましょう。
6-3 水とトイレの準備を万全にする
水は1日500ml～1Lを目安にします。トイレは使い捨てタイプやペットシーツを多めに積んでおきます。
6-4 匂い対策と換気を忘れずに
長時間車内にいると、どうしても匂いがこもります。消臭スプレーや活性炭を置いておくと、ペットも人も快適に過ごせます。窓を少し開けて換気するだけでも全然違います。
6-5 ペットの様子をこまめにチェック
30分に1回は声をかけてあげたり、体に触れて体温を確認したりしましょう。早めに異変に気づいてあげることができます。
実際に役立つおすすめグッズ
7-1 燃料まわり
工進 金属製ガソリン携行缶 20L（消防法対応）
アストロプロダクツ ガソリン携行缶 20L 縦型
7-2 ナビゲーション
パナソニック ポータブルカーナビ ゴリラ CN-G1500VD
ユピテル ポータブルカーナビ YPB750DR
7-3 ペットキャリー
リッチェル キャンピングキャリー ダブルドア Mサイズ
アイリスオーヤマ ペットキャリー ATC-670
7-4 車内快適グッズ
アイリスオーヤマ ペット用使い捨てトレー
ペティオ 犬猫用湯たんぽ
ドギーマン 遠赤外線 ペットのヒーターテキオン レギュラー
7-5 電源・照明まわり
Jackery ポータブル電源 708
LEDランタン（ジェントス EX-334D）
7-6 その他便利グッズ
ユニ・チャーム デオシート 超吸収タイプ
ライオン ペットキレイ 除菌できるウェットティッシュ
ドギーマン ペット用救急セット
早わかりチェックリスト
早わかりチェックリストになります。これを活用してみましょう。
| 項目 | 今日からできる具体的な行動 | チェック |
|---|---|---|
| ガソリン管理 | 半分になったらすぐ給油ルール開始 | ☐ |
| 予備ガソリン缶 | 20L金属缶購入＆満タンに | ☐ |
| 避難ルート | 3本のルート作成＋家族で共有 | ☐ |
| ペット車慣れ | 今週末に30分ドライブ | ☐ |
| キャリー固定練習 | シートベルトで固定してみる | ☐ |
| 水・フード5日分 | ローリングストックで車に常備 | ☐ |
| ポータブル電源 | 満充電＋ソーラーパネル購入検討 | ☐ |
| 避難バッグ | ペット＆人間用をトランクに | ☐ |
| 家族ミーティング | 今月中に1回話し合い | ☐ |
| オフライン地図 | スマホにダウンロード | ☐ |
まとめ：今日からできる小さな準備が、ペットとあなたの命を守る
ペットと一緒に車で避難するときに一番大事なのは「燃料」と「道」です。この2つをしっかり準備しておけば、ほとんどのトラブルは防げます。そして、それを支えるのが日ごろの小さな習慣と、ペットへの優しい配慮です。ガソリンを半分で入れる、月に1回違う道を走る、キャリーに慣らす、家族で話し合う――。どれもすぐに始められることばかりです。その積み重ねが、いざというときに「助かった」と心から思える瞬間につながります。さっそく今日から、ほんの少しだけでも行動に移していってみましょう。
