突然の土砂災害・地盤沈下から、愛する家族とペットを確実に守る方法

突然の土砂崩れや地盤沈下――。「まさか自分の家が……」と思っていた場所が、一瞬で土砂に飲み込まれたり、地面がドロドロに溶けてしまう。そんなニュースが、もう他人事じゃなくなっています。2024年の能登半島地震では液状化で家が傾き、2025年の九州北部豪雨では裏山が崩れて住宅街が埋まる……。「うちは山から離れてるから」「うちは埋立地じゃないから」と安心していた地域が、突然被災地に変わってしまいました。特にペットを家族に迎えているおうちでは、「自分だけなら走って逃げられるけど、愛犬や愛猫と一緒に、本当に助け出せるだろうか……」そんな不安が、夜中にふと頭をよぎくことはありませんか？この記事では、土砂崩れや地盤沈下が襲ってきても、大切な家族とペットを確実に守り抜くための準備を、「今日からできること」だけに絞って、ひとつずつ丁寧に解説していきます。

土砂崩れと液状化の「意外な怖さ」を知っておく

1-1 土砂崩れは「新幹線並みの速さ」で来る
実際に計測された土石流の速度は時速40～80km。山の斜面を一気に下ってくるため、警報が出てから逃げられる時間はわずか3～10分しかありません。「まだ大丈夫」と迷っている間に家ごと飲み込まれるケースが後を絶ちません。テレビで「土砂崩れ発生」と聞いてからでは完全に手遅れなんです。

1-2 液状化は「地面がドロドロのゼリーになる」現象
地震の揺れで地中の水圧が急上昇し、地面が液体のように流れてしまいます。家が傾いたり、マンホールが浮いたり、車が半分埋まったり……。しかも揺れが止まった後も、数時間～数日間は歩くのも危ない状態が続きます。車で逃げようとしてもドアが開かなくなる事例が何百件も報告されています。

1-3 ペットにとって一番怖いのは「二次災害」
割れたガラス片、倒れた家具、熱くなったアスファルト、泥水、停電による暗闇……。人間は靴を履いていても危険なのに、肉球は無防備。実際に被災地では「肉球を10針縫った」「熱い道路で火傷した」「ガラス片で歩けなくなった」というペットが続出しています。ペットのケガ＝避難所に入れなくなる＝車中泊強制、という最悪の連鎖が起こります。

まずは自分の家の土砂災害リスクを知る

自分の家がどれくらい危ないのか、まずは知ることから始めましょう。たった10〜15分でできる簡単なことからで大丈夫です。

2-1 ハザードマップを今すぐチェック
スマホで「〇〇市 ハザードマップ」と検索して、自分の家の場所を確認してみましょう。土砂災害の危険が高い場所は赤や黄色で色がついています。「えっ、うち黄色だったの！？」と驚く人が本当に多いですが、これを見るだけで「いつ避難しよう」という意識がまったく違ってきます。地図はスクショするか印刷して、冷蔵庫に貼っておきましょう。

2-2 裏山や擁壁を写真に撮っておく
家の裏の山やコンクリートの擁壁（がけを支える壁）をスマホで撮影してみましょう。
・ヒビが入っていないか
・水がじわじわ染み出していないか
・草が異常に伸びすぎていないか
をチェックします。毎月同じ場所・同じ角度で撮っておくと、変化にすぐ気づけます。
何か変だなと思ったら、その写真を持って市区町村の窓口に相談に行きましょう。

2-3 近所のおじいちゃん・おばあちゃんに聞いてみる
「昔、この辺で土砂崩れとかありましたか？」と気軽に聞いてみましょう。ハザードマップには載っていない、すごく貴重な情報が聞けることがよくあります。「50年前にすぐ近くで大きな土砂崩れがあったよ」と教えてくれるかもしれません。ついでにご近所付き合いも深まって一石二鳥です。

2-4 スマホにアプリを3つ入れる
無料で本当に優秀な防災アプリを入れておきましょう。
・Yahoo!防災速報　→ 土砂災害警報が一番早く届く
・特務機関NERV防災　→ とにかく速くて見やすい
・NHKニュース・防災　→ 信頼度抜群
家族みんなで同じアプリを入れて、通知音を「最大＋バイブレーション＋画面が光る」に設定しておきましょう。夜中の3時に鳴っても絶対に気づけるようにしておくのが大切です。これで「知らない間に警報が出ていた」という最悪の事態を防げます。たったこれだけのことですが、あなたと家族、ペットの命が守れる確率がぐんと上がります。

家の中・外でできる「すぐに効果が出る」対策

今すぐ始められて、その日から家族やペットの命が守れる対策だけを集めました。どれも簡単なので、ぜひ今日から1つずつやってみましょう。

3-1 家具は固定する
寝室にあるタンス、本棚、テレビは最優先です。100均のL字金具とネジ2本あれば、10分でしっかり固定できます。地震で倒れた家具の下敷きになって亡くなったペットの事例は本当に多いです。「うちは大丈夫」は絶対に禁物。固定したその日から、倒れるリスクが9割減ります。

3-2 排水溝・側溝を毎月掃除する
落ち葉や土が詰まっていると、30分の大雨で道路が川のようになってしまいます。家族で「毎月第1日曜は側溝掃除デー」と決めて、軍手とスコップで30分だけ掃除する習慣をつけましょう。ご近所さんと一緒にやればあっという間に終わって、みんなのリスクが一気に下がります。

3-3 土のうを玄関に10袋常備する
ホームセンターで1袋50〜100円の土のうを用意しましょう。「水で膨らむタイプ」なら場所を取らず、女性1人でも簡単に扱えます。玄関や勝手口に置いておけば、土砂や水が迫ってきたときに30秒で壁を作れます。

3-4 玄関まわりを「すぐに逃げられる」状態にする
夜中の避難で一番つまずくのが玄関です。以下の4つを必ずチェックして、すぐに直しておきましょう。
・靴箱は壁に固定する（倒れるとドアが開かなくなる）
・ドアの前に物を置かない（観葉植物や自転車は今すぐ撤去）
・家族全員分＋ペットの靴を「すぐ履ける状態」で並べておく
・100均のシューズラックを逆さにして壁に吊るすと、泥がつかず最高です
これで真っ暗な中でも30秒で全員が靴を履いて外に出られます。

3-5 停電が長引いても安心できる準備をする
液状化が起きると、1週間以上電気が来ないことも珍しくありません。今のうちに以下の3つを揃えておきましょう。
・ソーラー充電できるモバイルバッテリー
・手回し＋ソーラー充電のラジオ付きランタン
・ペット用使い捨てカイロ

これらを揃えておけば、「スマホが充電切れで情報が取れない」「寒さでペットが低体温になってしまう」という最悪の状況を避けられます。

家族みんなで作る、避難の「もしも」計画

家族全員が迷わず動けるように、今のうちにいろんな事を決めておきましょう。

4-1 避難場所を最低3パターン決める
行き先は1つだけだと危険です。必ず以下の3つを家族で決めておきましょう。
① 近所の指定避難所（小学校や公民館など）
② 高台にある親戚・友達の家
③ ペット同伴OKのホテルや旅館（事前にリストを作っておく）
「ペットが入れない…」で詰まないように、必ずペットOKの場所も確保しておきましょう。

4-2 避難を始める「トリガー」をハッキリ決める
「もう少し様子を見よう」が一番危ないです。家族みんなで以下のように決めておきましょう。
例：「大雨警報＋土砂災害警戒情報」が出たら、すぐに避難開始。
このようなルールを決めておけば、夜中でも躊躇なく動く事ができます。

4-3 避難バッグは玄関に置く
・避難バッグはいつも玄関に置きます。
・ペットのキャリーはその上に置いて、持ち手1つで両方持てるようにします。
・重さは大人1人が持てる15kg以内にしておきます。
定期的に家族で中身をチェックする習慣をつけましょう。「いざというときに中身が古かった…」を防げます。

4-4 子どもや高齢者がいる家庭は「声かけルール」を作る
誰が誰を呼ぶか、どう動くかを明確に決めておきましょう。
・誰が誰を担当するか？（例：ママはペット、パパはおじいちゃん）
・どこで合流するか？（例：家の前の電柱の下）
・役割分担をホワイトボードに書いて、冷蔵庫に貼っておきます。

ペットがパニックにならないための準備

災害時にペットが暴れたり逃げたりすると、家族全員が危険にさらされる事にもなります。今から少しずつ慣らしておきましょう。

5-1 キャリーを「大好きな寝床」に変える
普段からキャリーのドアを開けっ放しにして、好きな毛布を敷き、おやつを隠しておきましょう。1週間もすれば「キャリー＝安心の場所」になります。

5-2 キャリー慣らしトレーニング（4週間プラン）
1週目：入るだけで最高のおやつ
2週目：ドアを10秒だけ閉める（ご褒美連発）
3週目：家の中を5分間持ち歩く
4週目：車に乗せて近所を1周
このステップを踏むだけで、避難所でも熟睡してくれる子が続出します。

5-3 災害時の「音と匂い」に少しずつ慣れさせる
・線香を焚いて煙の匂い
・濡れたタオルを絞る音
・YouTubeで「土砂崩れの音」「避難所の雑踏」を小音量で流す
最初はビクビクしても、3日もすれば平気になる子がほとんどです。

5-4 首輪・ハーネスは必ず2重に
首輪だけだと外れて逃げてしまう事故が多発しています。
・首輪＋ハーネスの2重装備
・迷子札＋蛍光テープ＋AirTagかGPSを常時装着
夜間の捜索でも100m先から見つけられます。

5-5 避難所で「吠え続けて退去命令」にならない練習
・知らない人を家に呼んで吠えても完全無視（無視トレーニング）
・30秒静かにできたら最高級のおやつをあげる
これで避難所でも静かに過ごせるようになります。

5-6 多頭飼いさんは「抱っこ優先順位」を決める
例：①足の悪いシニア → ②パニックになりやすい子 → ③自分で歩ける子
キャリーの積む順番も同じにしておきましょう。

5-7 猫専用の脱走防止対策
・ハードキャリーに100均の南京錠をかける
・洗濯ネットに入れてからキャリーに入れる
・首輪に超軽量GPS（Pawfit3など10g以下）をつける
・網戸は猫脱走防止ネットで2重に
環境省のデータでは、災害時の猫の脱走率は9割と言われています。でもこれでほぼゼロにできます。

厳選！土砂崩れ・液状化対策の頼れるグッズ

土砂崩れや液状化が起きやすい地域に住む場合、こんなグッズを揃えておくと心強いです。

6-1 Anker SOLIX C300（ソーラー付きポータブル電源）
288Whの大容量で、冷蔵庫も動かせるパワーがあります。停電が長引いても、ペットの薬を保冷したり、スマホを充電したりできます。ソーラーパネル対応なので、外で日光があれば何日も使えます。これ1台で、暗闇や停電の不安がぐっと減ります。

6-2 ペット用ライフジャケット（例: Ruffwear Float Coat）
液状化で突然水が来ても、ペットが浮いて頭を出せます。抱っこできなくても安心で、調整可能なストラップでぴったりフィット。明るい色と反射材付きなので、夜間や悪天候でも見つけやすいです。水辺の災害に特におすすめです。

6-3 キングジム 防水ポーチ「EMILy SLIM FILE CASE」
保険証、ペットの証明書、現金を泥水から完全に守れます。フラットに開くデザインで中身が見やすく、防水素材で雨や浸水に強いです。コンパクトなので、避難バッグにぴったり入ります。大事な書類が濡れずに済むだけで、復旧がスムーズになります。

6-4 ペット用ブーツ（滑り止め付き、例: Musher’s Secret Paw Protection）
ガラス片や泥だらけの道路から肉球を守り、滑り止めで転びにくくします。災害後の避難路で特に役立ち、柔らかい素材で長時間履けます。サイズはペットの足に合わせて選びましょう。これでペットが怪我せずに歩けます。

6-5 折りたたみソフトケージ（例: Amazon Basics Soft-Sided Folding Crate）
車に常備しやすく、避難所で即席の個室に変身します。軽量で折りたたみ可能、4つのドアで出入りが楽です。メッシュ窓で通気性抜群なので、ペットがストレスなく過ごせます。多頭飼いでも積み重ねやすいです。

実際に被災したペット家族の「生の声」10選

過去の災害で実際に体験した方々の声です。同じ失敗を繰り返さないために、ぜひ参考にしておきましょう。
「キャリーに慣れてなかったので、抱っこで逃げようとして逃げ遅れた」
→ キャリー慣れは重要です。
「首輪だけだった子が外れてしまい、3日後に保護されたけど怪我だらけだった」
→ 首輪＋ハーネス＋GPSの3点セットが必須です。
「避難所で吠え続けてしまい、車中泊を1週間強いられた…」
→ 吠え対策トレーニングをやっておきましょう。
「ハザードマップ見てなかったら、土砂崩れ直撃コースだったと後で気づいた」
→ 10分で済むマップチェックで命が助かるかも知れません。
「ソーラー充電器のおかげでインスリン冷蔵保存できて命拾いした」
→ 停電が長引いても薬が守れるという事例です。
「猫が脱走して10日後に奇跡的に発見。GPS付けておけば…」
→ 軽量GPSを必ずつけるようにしておきましょう。
「ペット用ブーツがなかったので、ガラス片で肉球を5針縫った」
→ ブーツか肉球保護ワックスは必要です。
「家族の役割分担を決めていなかったので、避難に20分かかり危なかった」
→ 「誰が誰を連れて行くか」を決めておくだけで全然違います。
「避難所以外のペットOKホテルリストを作っておいて、本当に助かった」
→ 避難所がダメでも第2・第3の行き先があれば安心できます。
「定期的に避難訓練してたおかげで、子どもが自分で犬を抱えて高台まで走った」
→ 訓練は本当に大事です。

早わかり表：一目でわかる対策チェックリスト

土砂崩れ・液状化・ペット対策チェックリストになります。参考にしてみましょう。

まとめ：土砂崩れ・液状化から家族とペットを守る第一歩

土砂崩れも液状化も、誰の力でも完全に止めることはできません。でも、事前に準備をしておけば、「助からなかったかもしれない」を「なんとか助かった」に変えられる確率がぐんと上がります。「完璧にやらなきゃ」なんて思わなくていいです。まずは今日、以下の3つだけでもやってみましょう。
・ハザードマップを見て、冷蔵庫に貼る
・キャリーのドアを開けっ放しにして、おやつを入れてあげる
・家族に「土砂崩れや液状化が来たらどうする？」って聞いてみる

たったこれだけの小さな一歩が、土砂や水から大切な家族とペットを守る、最初の大きな防波堤になります。あなたの日常が、どんな災害からも守られますように、さっそく少しずつでも準備を進めていってみましょう。